遅くなりましたが3月の読書報告です
3月の読書は9冊
今年の読書重点作家の青柳作品を続けて読みました
月毎の読書をクイズ形式にしようとすると
どうしても青柳本が少なくなるため、ここで調節です
しかしそれも7冊読んだ所でお腹イッパイに。
読んでみたい他作家の作品を加えて9冊
高評価がその2冊になったのは皮肉な感じですね
というワケで今月はクイズ出題ではございません。
ま、偶然共通項はありますが、クイズ的には全く
面白味が無いので解答募集は特にしません。
それでは今月の9冊を紹介します。


青柳碧人    彩菊あやかし算法帖    ☆☆

青柳作品はどれもそうですが、トンデモ設定
必ずといっていいほどあります。それは海中の学校だったり
数学テロリストがいたり、ヘンな部活動だったりです。
本作は時代物+妖怪+数学という3つの要素を含んだ
連作短編です。妖怪ものは他のシリーズで見受けられますし
数学は浜村渚シリーズが数多く扱っています。
時代物をプラスしただけでは新味に欠ける気がします。
実際、この時代だから仕掛けが成立するという感じも
受けません。数学はここでは算術と呼ばれますが

その趣きはいつの時代でも同じでしょう。


青柳碧人    彩菊あやかし算法帖 からくり寺の怪 ☆☆

続けて続編です。前作を継承しているだけの2作目であり
ここもまた有効なファクターに欠けます。そうなると
主要キャラクターの魅力がアピールできるポイントに
なるのですが、主役はどこを取っても浜村渚以下で、
脇にも魅力のある登場人物がいないです。
妖怪は数学の問題を出すだけの為の存在になっています。
シリーズ2作目もちょっと残念な作品になっていると感じます。


青柳碧人    希土類少女 ☆☆☆

さあ、ヘンテコ設定の極みが登場です。
希土類(レアアース)は化学の時間で
元素周期表にてお目に掛かったでしょう。
中にはレアではない元素もありますが、
ここに登場する少女たちはそれぞれ、貴重な
元素を体から産出
します。果実を収穫するように
体から飛び出たレアアースが段々大きくなり
ある日、取り出す事が出来てしまうんです。そして
貴重な元素を産み出す彼女たちは極めて短命です。
そういうSF的設定の中での物語が綴られます。
設定は兎も角、物語は切なくてなかなか良かったです。


青柳碧人    雨乞い部っ!1 ☆

ヘンな部活動もまた青柳作品の特徴です。
タイトルが示す通り、雨乞いを行う部活で、
踊りや器具を使って雨を降らす量を競う
体育会系の話です。この小説はラノベでして
それに合わせた軽いノリや文章で書かれています。
自分にはどうもそれが合わなかったです。
ラノベがダメという事ではないと思うんですが。
続編も手元にあり、読むかどうか保留の問題作です。


青柳碧人    判決はCMのあとで ☆☆☆

本作は裁判がTV局によってショー化された世界
設定としています。主人公を含む一般の人が裁判員となって
一つの事件を判決に至るまでを描きます。
そういうとなんだか固い話のようにも思えますが
裁判アイドルグループのその名も「CSB法廷8」
そのリーダーと主人公をめぐる恋愛もの+プチミステリ
完全にバラエティのノリのエンタメです。


青柳碧人    玩具都市弁護士 ☆☆☆

さてお次はタイトルでも述べられているように
玩具、オモチャの街の弁護士(人間)の話です。
そこの世界では玩具にAiが施されていて
その必要以上の能力のAiによって人間のように
話したり、怒ったり、嘘をついたりする玩具
たちを
成り行き上、弁護するパン屋、そしてそこに居候した
少女が探偵役
となる連作短編です。
この街では放棄されたり、他の町から逃げ出した玩具が
徒党を組み、いつしか凶悪化してます。つまり
玩具=ギャングというワケですかね?青柳さん。
今月ここまで読んだ中では一番ミステリとして
成立している話だと思います。


青柳碧人    上手な犬の壊しかた ☆☆

上記の玩具都市弁護士の続編です。タイトルが目をひきますが
これも玩具の犬です。それがそうと判ればトリックまで
思いつきそうなタイトル
ではありますね。
本作も前作と同じようなスタイルで時折、変化を持たせる
工夫が見えます。その工夫は読者に退屈を感じさせない為に
必要な所ですが、見せ方によっては作者側の都合という
感じたくない部分を露呈する場合もあり、若干それを
感じましたのでやや減点としました。


碧野圭     書店ガール7 ☆☆☆☆


ひと月ずっと青柳祭りを続ける事も考えていたのですが
食傷気味になってきた所に書店ガールのシリーズ最終巻
入手して読みたくなったので、手に取りました。
碧野作は3ケ月連続の読書になってますね。
本作は作者の代表作のシリーズでライフワークになりそう
展開(主人公が時の流れで動いています)でもありましたが
最終巻ですか。残念ですねぇ。
さて、本作はシリーズの総まとめという気負いを
全く感じさせないスタートでした。それを皮切りに過去の
主要登場人物の4人のその後、そしてこのシリーズの舞台
でもある本屋の行方を追っていくうちに綺麗な総まとめへと
4つの短編を細く繋げながら紡いでいきます
。いいですねぇ。


赤川次郎    マリオネットの罠 ☆☆☆☆

先月に続けて赤川作品のいつかは読む2作品のもう片方です。
本作は日本の本格ミステリの黎明期~興隆期(1975年~94年)
ベスト100の中の一作で、これで未読はあと27作です。
赤川氏初期の作品(初長編?)で終盤まで本格(パズル系)
らしさを感じさせない展開でした。さすがリーダビリティ
デビュー作からでも抜群ですね。最終盤になると本格テイストが
爆発
します。有名作家の名誉ランクインでは決してない
仕掛けと狙いを秘めた本格ミステリ作品でした。満足。