2月の読書報告です。
2月の読書は7冊
☆評価がすべて☆3つでした。
今年から記事トップの画像を今月の一冊を掲げる事にしたのですが
ど~しても7作の中から絞れない。全く横一線です。
なので、一番最初に読んだ本をカバー写真にしました。

さて、今月もクイズ出題になっています。
7冊の共通点を当てて下さい。
勿論、評価がすべて☆☆☆というのはナシです
クイズ難易度は☆☆☆です。が、一般の人ならともかく
皆さんならすぐに気付くでありましょう。
では。


門井慶喜 キッドナッパーズ ☆☆☆

7編からなるミステリ短編集。
連作ではないバラバラの短編集って少なくなりました。
1篇読み終える毎に頭を切り替えなければならないので
弱小読者(自分)には手強いです。
それぞれの作品を眺めると些細な事に拘って物語(謎)が
展開していく話が多いです(作風?)
個人的には嫌いではないですが、人によっては違和感を覚えるかも。


赤川次郎 幽霊列車 ☆☆☆

ブックレビューに赤川作品を取り上げたのは初めてかも知れません。
全く読んでいないワケではなく、また読まないと決めている事も無いです。
ただ、数量的にとても追いかけられない作家なので(笑)
それでもその厖大な本の中から必ず読むと決めている作品が2つあって
その中の1冊が本作です。もう1冊は「マリオネットの罠」です。
この2冊は探偵小説研究会による1975~1994年までの
【本格ミステリ・ベスト100】に選ばれているからです。
発行年代的にはもはやミステリの古典と呼んでもおかしくない作品たちです。
20年ほど前にこの100冊を全部読んで、ミステリの基礎を身につけようと
全冊はかなり前に揃えたのですが、読書は全然進んでいません。
本作を読んでやっと72冊目です。中には読むのを躊躇われるような
大作・怪作もありますが、いつの日か制覇したいです。
これらを読破せずにミステリを語る勿れとも思っていますが
すでに色々と語っていますね(苦笑)
話が大きく逸れましたが、本作は連作で赤川作品らしく読み易く
謎やストーリー展開、キャラクタなどのバランスが良い
作品でした。


柚月裕子 臨床真理 ☆☆☆

10年遅れの読書をしている私でもこの作家は今後の
ミステリ界において避けては通れない作家の一人
だとは思います。
そんな柚月作品はまだこれで2冊目の読書ですけど。
本作は長編でよくまとまっている作品だとは思うのですが、
主人公がどうにも好きになれないタイプの人です(最近こう思う事多いなぁ)
真相を突き止める為、つまり正義の為なのですが、その為に
違法行為(止むを得ない行為ではなく、心情的にダメな筈な行為)を
割と軽くやってしまうのがどうなんでしょう?と感じるのです。
例えば主人公は個人情報の遵守がとても大事な仕事に就いているのに
調査の中で個人情報だから教えられないと言われても「そこをなんとか」
とか言う事が多いです。そういう仕事に就いていたらそんなセリフは
軽々しく出ないはずなんだけどなぁ・・勝手に立ち入り禁止の部屋にも入るし。。
そういうキャラ設定なら仕方ないけど、大もとの行動原理が正義の為なのに、
自分側の都合で押し進め過ぎる
キライがあります。


碧野圭    辞めない理由 ☆☆☆

碧野本はこれで14冊。手持ちの碧野作品は読み切りました。
碧野さんはお仕事小説を主体にしていますが、本作も育児を
抱えながら出版社で働くキャリアウーマンを主人公に据えています。
理不尽な扱いや学校問題を乗り越えて、成功へと進む大舞台では
ないですが、いわゆる王道的なサクセスストーリーです。


十市社    ゴースト≠ノイズ(リダクション)☆☆☆

初めて読む作家さんです。まず、名前が読めません。
「とおちの やしろ」と読むようです。そしてタイトルにも
不等号≠が使われていて、若干厄介さを感じます(笑
実際の背表紙も≠は変な向きになっています(何故だ?)
読み始めからレトリックに満ちており、仕掛けがあるのを
隠そうともしない描写で進みます。それは最後のほうまで続きます。
謎は明らかにあるのですが、その解明が進むのではなく、
さして事件も進展しないのに物語を飽きさせずにページの
大半を埋めていくのが新鮮
でした。結末は完全にスッキリとしたとは
言えなかったのですが、不完全燃焼とも言えず、不思議な読後感です。

 

知念実希人 レゾンデートル ☆☆☆

一昨年の重点作家だった知念氏。手持ちを読み切った後も精力的な
創作活動のおかげで未読の知念作品がその後も本棚に埋まっていきます。
各種ランキングにも名前が出る事が増えていて、作者の充実ぶりが窺われます。
本作は500ページに迫る大作(私には重量級のページ数だ~)ですが
ストーリーはバランス良くまとまっていて、手慣れた感じがします。
ばらのまち福山ミステリで受賞した作品から改稿・改訂した本を読んだからでしょう
(文庫発行2019年で発表から8年後)知念本はこれで22冊
まだ現役医師なのでしょうか?こんなによく書けるなぁ・・



佐藤正午 永遠の1/2 ☆☆☆

佐藤作はこれが2冊目で作者像もはっきりしていないはずですが
何となく予想どおりの作風・文体でした。それは多分に本作が
すばる文学賞受賞作だという予備知識がそうさせたのでしょう。
とは言え、すばる文学賞作をそんなに読んでいないので
まあ、偏見のようなものかも知れません。
本作はいわゆる「青春小説」ですね。
私はゴールが呈示されない小説を読むのが苦手で、序盤早々に
そもそもゴールを迎えない作品なんだろうなと感じとってしまったせいで
読み終えるのにとても日数が掛かりました。そういう作品でも
いいなぁ、いつまでも読んでいたいなぁと思う作品もありますが
こらえ性の無い自分はいわゆる文芸作品がとてもハードル高く感じます。
でも、面白くなかったかと問われれば、いやそんな事はなく
むしろ、良い作品だと思うのも本音です。