悪魔に魂を売り、仕事をもらう。

悪魔のために一生懸命働く。

そして、自分が生活に困らない程度をもらえたらいい。

いや、それ以上に、申し分のない十分な額をもらえているだろう。

反抗させないように、いつまでも忠実でいさせるように、

十分な額を与えられているだろう。

結局、人間というものは、自分さえよければそれでいい、

そんな生き物だから。

自分の給料として支払われたお金以外の

その他のお金が、何に使われているかについては、

見て見ぬふりをしている。

そこは、触れなくていいところだと割り切っている。

忠誠心を誓っているからね。

残りの巨額なお金というのは、

すべて上納金として業界を牛耳るやつ、

つまり悪魔の元に入る仕組みになっていて、

悪いことのために使われる。

 

忠誠心を誓えば仕事をもらえる業界。

では、忠誠心を誓わなかった彼は、

なぜ仕事が山のようにあったのか?

それはやはり、彼に実力があるのは確かであり、

お金になるからだろう。

仕事をさせれば完ぺきにこなしてくれる彼を扱き使って、

業界の資金を潤わせる。

結局、悪魔たちは、自分たちの懐が潤えばいいわけだから、

従うも従わないも関係ない。

自分たちの都合のいいように酷使する。

 

幼いころ、ピュアな状態で業界に入った彼。

業界の闇など、何も知らずにこの業界に入り、

次第に悪のために働くという事実を知ることとなった。

彼は、許しがたいことをいっぱい知ってしまい、

ものすごく心を痛めたんだろうな。

 

かの事務所はたびたび挑発的な作品を彼に投げかけ、

結局はお前は悪魔の言いなりにしかなれないんだよ、

と、幼稚で陰湿で悪趣味ないじめをしてきた。

でも、彼は強かった。

本当に強かったと思う。

全てを自分らしく演じている。

絶対に折れなかった。最後まで。

洗脳されず、服従せず、正義を貫き、

この業界の実態に反抗した。

自分自身であり続けた。

〇国でのあのスピーチは、

彼が勇気をふり絞って、命を懸けて、この業界に反抗したスピーチだったと思う。

そして、彼の才能、実力が世の中に与える影響は、

事務所の想定を超えるものだったのだろう。

彼には世の中を変え、正す力があったから、

あの事務所のトップは、カチンと来たんだろう。

生かしておけないと思ったのだろう。

この業界には、仕事を乞うやつはいっぱいいる。

彼1人分の売り上げを、3人で、5人で、

それ以上で出したとしても、結果が同じならいいわけで、

別に彼の代わりになる者なんて、業界には無数といる。

人ひとりの命を奪う事なんて、これっぽっちも思っていない。

あの事務所のトップは、彼を使うだけ使って、無惨に使い捨てた。

そして、この悪魔が彼に仕掛けた計画に使われた資金の大半には、

彼も貢献した、あの名目上チャリティーイベントで得た募金や、

彼が人々に笑顔を与えるために

汗水流して世に送り出した作品の売上等が含まれていると思うと、

、、、言葉にならない。

彼が望むお金の使い方とは裏腹に、

そんな皮肉な使い方をされたとしたら、、、

いやだ。そんなこと考えたくもない、、、。

そして、この悪魔は、彼の遺した作品から印税を得て、

死んでも彼を働かせている。

最低だよ。

悪魔という言葉だけでは表せない、究極のクズ。

言葉では表せないクズ以下のもっとそれ以下。

 

自分が今まで、

いかに無知でヘラヘラと平和に暮らしていたか、

彼がいなくなってから、たくさん考えて、たくさん知るようになって、

虚しくて、悔しくて、やるせなくて、心が張り裂けそうになる。

そう考える私は狂っているのか。バカなのか。

 

それがこの業界の実態。

そして、それはこの業界に限ったことではないということ。

世の中は、理不尽で汚いことだらけ。

世の中のそういうことを知れば知るほど、

無念でため息しか出ない。

 

だがその一方で、

自分は、そういう汚いこととはほとんど無縁で、

今までヘラヘラと平和に暮らしていたんだな。

ということに、ふと気づくことになった。

実は、それってものすごくありがたいことなのかもしれない。

平和に暮らせることは、実は奇跡なのかもしれない。

「平凡」という言葉は、「退屈」

「凡人」という言葉は、「退屈な人間」

今までそう思って、ネガティブな言葉だと思っていたが、

実は、「平凡」であること、「退屈」であることは、

何にも代えがたい奇跡であり、

感謝しなければいけないことなのかもしれない。

ふつうに平凡に働いて、平凡に暮らしてるけど、

退屈と感じる心の余裕は、実は平和な証で、

何も不自由なく、それ以上にほしいものも特にはない私は、

ものすごく幸せで、おめでたいヤツなのかもしれないな。

 

彼がいなくなってから、私はテレビを付けてない。
別に反抗とかいうわけではなく、

そういう気になれないだけ。

ニュースが知りたければネットで見るし、
You Tubeで自分の見たいものを見ている。

テレビつけっぱなしっていうのは、

受動喫煙みたいに知らない間に汚れて、洗脳されているけど、

自らが求めるものを見るっていうのは、

受動的ではない分、洗脳されることが少ない。

 

その業界の売り上げが全部反社に流れる

仕組みになっていることを知った今、

その業界に貢献したいとも思えなくなったし、

彼を酷使して使い捨てた事務所のトップと業界には恨みしかないし、

私、もう、テレビは見ないだろうな。