小串硫黄鉱山跡・毛無峠 | 新・笑ってでも駆け抜ける‼︎

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探究心のカケラ追い求めて────。


2015/9/29

前々から行きたいと思っていた毛無峠と小串硫黄鉱山跡。
GPVほか3つのお天気アプリで甲信越は快晴との予報を叩き出していたので、都内にて車を借りて一路・群馬県嬬恋村を目指した。
標高2000mを越える高山の頂上での生活・思いに馳せながら1枚1枚シャッターを切った。





   

東京都・五反田からレンタカーで3時間ほど高速道路と有料道路を走りきる頃には標高が1500mを越え、まだ10月にもなっていないのに植生する木々は黄色や赤色に染まっていた。
写真を撮りに車から降りると、かなり気温が下がっていて半袖では寒過ぎた。




   

なおも上り勾配は続き、T字路に差し掛かった。
久々の青看版の登場に"いよいよか!?"と期待に胸弾ませた。
もう存在しない「小串」や噂で聞いたグンマー帝国の国境を示す「行止まり」が妙に生々しかったのを思い出す。




   

      《2020/10/25撮影》
交差点分岐後もひたすら登る。2回目の訪問時は11月前。冬季閉鎖ギリギリだと路面は積雪するぐらい下界との景色が変わる。
1回目と2回目の訪問の間に毛無峠の知名度は上り、道中や現地でかなりの車と遭遇した。そのおかげか路面の轍を頼りにノーマルタイヤでも走ることができた。





   

カーナビ上では県境が表示される頃には山肌の木々が消えてすっかりハゲてしまっている。硫黄鉱山の後遺症だろう。有毒ガスが出ている地域は動物も植物もいないというのは他の探索で経験した。
そんな日本離れした高所を走ると路面も未舗装になりガードレールもなくなり、ややハンドルの握る手にじんわり汗が染みる。





   

毛無峠到着。車を降りる…がドアが開かないのである。
抵抗を感じるけれど、必死にドアを開ける。
やっとの思いで車のドアを開けると"びゅうびゅう"と強風に襲われた。

                  "何この強風は!?"

半袖であることが災いして、やっとの思いで開けたドアに身体が引き込まれてしまった。
車内で考える。寒すぎるから短期決戦で行こう。






   

これがかの有名な"グンマー国境"
どこかのブロガーがここへ立ち入り遭難したという記事を見て以来、どんな曲者も寄せ付けない強いをオーラを強く放っている。
しかしこの先の景色が見たい。鉱山跡はどうなっている?と考えると、たちまち県境のチェーンに足を掛けてチラっと覗いでみたりカントリーサインの脇に通路がないか見て回ったりした。
しかし、そんな回りくどいことはせずに群馬県へ続く車道を歩けばいいのでは?

"ま、まぁ────ちょっとだけ。ちょっとだけなら…"




   

小さな勇気を振り絞った割には砂利道の九十九折りがどこまでも続く景色が続いているだけだった。
鉱山の建屋や機械が残っている、なんて淡い夢物語も現実を前に立ち消えとなった。
しかし、これは確かに群馬県側は過酷で危険だってわかったしこれはこれで筆者自身で納得している。




   

さて、県境エリアを後にして、山の尾根を横断する鉄塔たちにクローズアップしよう。
とは言ってももう9年前の写真になるのでこれがどこの写真なのか全く記憶がない。
今も当時も岩肌が露出していて360°どこを見ても日本離れした大パノラマだと言うことだけは断言できる。
しかしすごいところに鉱山を拓いたなと思うし、車を止めた山の谷間も奇跡の平地だよなと感動している。




   

鉱山跡も木々も全て消えてしまった毛無峠に、なぜ鉄塔だけ綺麗に残っているのか?
嬬恋から須坂の方へ結ぶ電線で、鉱山跡とは全くルーツが違うのでないか?と思った。
露出した岩肌と人工物である鉄塔がなんともミスマッチで異世界空間に飛ばされた気分になっている。




   

更に近寄ってみた。鉄塔自体は錆びついていて触れると鉄がボロっと剥がれ落ちた。
しかし基礎はしっかりしていて崩落はしなさそう。
かなりの強風が吹き荒れているのに背景の大きな岩もびくともしないし、鉄塔自体もなびく訳でもないし、毛無峠の環境と鉄塔のすごい共存社会を垣間見ている気分だ。




   

山と山の谷間からは須坂の市街地が小さく写る。
ここで筆者はそうか!と確信した。
群馬県から来るより長野県から来た方が楽に来れる、と。
群馬県側の有料道路も距離が短いのに1150円も取られたし長野県側に抜ける理由しかないだろう。
もういい加減冷え切った身体を暖めたい。帰りはブルブル身体が震えながらハンドルを握るのだった。