夏焼集落 後編 | 新・笑ってでも駆け抜ける‼︎

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探究心のカケラ追い求めて────。


​2024/5/5 夏焼集落

中部地方の山奥に眠る天空の廃集落────
新緑が色鮮やかに色を添える5月初旬に訪問したが、日没までの時間が残り少なくなりペースアップで更に集落の奥までお邪魔させていただくこととした。





   

狭い通路の先端。この先は1m高い土地になっている。
石垣の隙間から顔を覗かせる草も若草色に染まり見惚れてしまう。暗いところでじめっとした若草色も陽の光を浴びてフレッシュな若草色も美しい。そんな2度美味しい風景を切り取ったわけだ。




   

気になる建物を見つけた。
引き戸が洋風で床は白く塗られたフローリング。
大正ロマンを感じずにはいられないこの部屋はなんだろうか?




   

このタイルは…浴室か!
特に荒らされた形跡はないが、流石に部屋の内部もしっかり写すのは少々怖い。
昔の祖父母の家もこんなタイル張りの浴室だったことを思い出した。




   

更に奥へは行かず一番最初に見たブロック塀で囲まれた住宅にお邪魔した。
窓やドアの全てがシャッターで閉められていて、かなり状態がいいことから、定期的に手入れをされている方の持ち家なのかもしれない。
このシャッターを開けると縁側が出てくるのかな?お茶でも飲みながら、この天竜川の絶景を眺めてみたいものだ。




   

ベランダの先を進むと離れになっているトイレ・浴室の間を通り階段を登った。
何回でも言うが、背景の大自然と折り重なるように密集する住宅のギャップがすごい。
47都道府県に訪問してもまだまだ日本という国を堪能しきれていないと思う瞬間であった。





   

更に階段を駆け上がってもう1枚。
苔むした樹木が時間の経過を教えてくれた。
最後の住民は高齢の女性とのことだが、家より高いここへはもう何十年と様子を見にきていないんだろうなと思った。
背景に写るお風呂の煙突が古き良き昭和の佇まいを残してくれている。





   
遠くの方から筆者を呼ぶ声がした。
急いで階段を降りてベランダから顔を覗くと、集落入口の階段に知人の姿が。
タイムアップを知らせてくれていた。
筆者は後ろ髪を引かれる思いで下界へ続く階段を降りていく。
10段に一度、小さくなっていく集落を振り返る。
ここまで来るのに大変だったからもう二度と行きたくない自分と、まだまだこの集落と向き合う時間が欲しいという自分が混在していた。

しかし、すぐに答えは見つかった。 

"ありがとう…"

小さくそう呟くと、しっかり大地を蹴って1歩、更に1歩前へと進む。


"さぁ、次の冒険に繰り出そう!────"