こんにちは
アスリート応援★管理栄養士 Tomoです
前回の記事でプロティン販売会のような学校部活の栄養講習会について
もんもんとしたことを書きました。
その栄養講習会時に出された保護者の質問に対し、
「んー、わたしだったらこんなふうに答えたいかな」
と思うことを少し記事にしていきたいと思います。
質問その1
ハードなトレーニングの後にすばやくリカバリーできる食材や食べ物の組み合わせは?
プロティン会社の答えはこれでした。
「練習後は体重×1グラムの糖質と体重×0.3グラムのたんぱく質の摂取が効果的。
おにぎり+プロティンやバナナ+プロティンがおすすめです。
当社には●●と▲▲というものがあります。
じゃあ、わたしならどう答えるか…
糖質、タンパク質、ビタミンC、クエン酸の組み合わせが良いと思います。
おにぎり+サラダチキン+オレンジ100%ジュースや
おにぎり+チーズ+フルーツなど。
使ったエネルギー(糖質)と、壊した筋原線維の補強(タンパク質)、
栄養の吸収を高めたり、ストレスの緩和に役立つビタミンCとクエン酸の組み合わせです。
質問その2
体重がなかなか増えません。食べても増えないのは栄養が足らないのですか?
プロティン会社の回答
食べても体重が増えない場合は運動量に対し摂取カロリーが少ない可能性がある。
3食に限らず捕食を加えて1日に複数回の食事を設定することがおすすめ。
食事の吸収をよくするためにビタミンの摂取も効果的。
当社には●●と▲▲と◆◆があります。
わたしなら…
そもそも、その子にとって体重が増えたほうがいいのかどうか、そこから考えます。
体重を増やして大きな体にすることが必ずしもその子にとってベストなことなのかどうか、です。
栄養がしっかり摂取できていて、パフォーマンス良好、何よりケガや疾病が少ない場合は、
問題がないので増量に必死にならなくてもよいのでは?
反対に増量したほうがいいのは、ケガや疾病が多い、回復がおそい、パワー不足が目立つなど、
その選手の状態を見て判断しましょう。
増量したい場合。
筋肉量のみを増やす場合は、糖質+タンパク質+レジスタンストレーニング+休養が必要です。
この「休養」がとにかくおろそかになりがち。日本人選手は特に、です。
回復のないまま、栄養だけ与えてもダメです。
体重を増やしたい場合は摂取カロリーを増やします。
大事なのは「どの栄養素もバランスよく増やす」ということです。
量的に食べられない選手の場合は、うまく油を利用します。
言いたいことはもっといっぱいあります(笑)
大事なことは、
まず自分またはわが子やわがチームの選手ひとりひとりにとって
大切なことはなにかは一人一人違うという見方をすることです。
体重や体質はそっちのけで、
ごはん3合を弁当にもってこい!という少年野球のコーチが
平気でそのあたりに存在している事実。
細身で華奢でそのかわり瞬発力に長けて走るのが早い選手に
ごはん3合をお昼に食べさせたら、その子の体で何が起こるのか。
ハードに走り回るトレーニングの後にタンパク質が必要だからと
夏に牛乳を配布し、全員に飲ませる少年サッカーコーチの存在。
気持ち悪くなって吐いてしまう子たちがいても、
間違った根性論や知識を「間違えている」と顧みない、
そこには「指導者」と呼ばれることに対する傲慢さすら感じます。
そして、安易にプロティン会社のバックマージンに飛びつき、
「フィジカルが弱い子たちが多いから」と
保護者に「栄養講習」と銘打って販売会に参加させる。
成長期の子どもたちが毎日、化学的につくられたサプリや栄養剤を摂取し、
それが何年後、何十年後にどういった影響を身体に及ぼすのか。
それすら、曖昧なまま、少年たちのスポーツの世界に市場原理が働く。
それが学校の部活の現場ですら、まかりとおっている事実に
わたしは警鐘を鳴らしたいと微力ながら思っています。
「わたしならこう答えたい」シリーズはまだ続きます♪