こんばんは。
皆さま、体調はいかがでしょうか。
私の病院では年明けから新型コロナウイルスの感染者がじわじわ増え続けています
ニュースでも第10波が立ち上がりつつあると報道していました。
今日はそんな中で、新型コロナウイルスに関する話題を2件ほどご紹介します
(いずれ日経メディカルで紹介されていた記事です。)
1件目は新型コロナウイルス感染症の流行中(2020年)における、消化器内視鏡検査(胃カメラ、大腸カメラ)件数と食道癌・胃癌、大腸癌の発見率についての報告です。
(Iijima K, et al. DEN Open. 2024;4:e249)
日本内視鏡学会が東北地方で行ったアンケート調査を集計したもので、2020年に行った消化器内視鏡検査件数は2019年と比較し、胃カメラで10.1%、大腸カメラで7.9%少なかったそうです。
それにより、食道癌・胃癌の診断率は5.1%、大腸癌の発見率は2.7%減少したとのことでした。
新型コロナウイルスの影響で診断が約6か月遅れると、胃癌では4.6%、大腸癌では6.4%がより高いステージに移行すると報告しています
私は普段、胃癌や大腸癌といった消化器癌の診療を行っているのですが、コロナ前と比べて今の方が進行癌が増えたように感じていました。
この記事を読んで、実際にそのとおりのデータが出ていることに納得したのでした。
というわけで、皆さま、早めに検診を受けましょう! (私もですが・・・)
2件目は少し古い論文から。腸内細菌叢と新型コロナウイルスワクチンの関係について調べた前向き研究です。
(Healey GR, et al. Gut. 2022; Dec 22: gutjnl-2022-328556)
結論としては、新型コロナワクチンに対する反応が高い被検者では、ある一定の腸内細菌の数が多かったことが示されました。
さらに、腸内細菌叢の機能や食事と、新型コロナワクチンに対する反応との間に関連があるかを調べたところ、分子鎖脂肪酸を摂取するとワクチンの反応が減弱し、食物繊維の摂取量が多いとワクチンの反応が高まる可能性が示唆される、と述べられていました。
(注:これはあくまでも文献で示された内容で、その成分が含まれている食物を回避することや摂取することを勧める内容ではありません!)
一般に、日常生活の中で腸内細菌が意識されることは少ないと思いますが、医療現場では腸内細菌に悩まされることが多々あります。
その一例として、クローン病や潰瘍性大腸炎などの疾患や、院内感染症でもあるクロストリジウム・ディフィシルによる腸炎(CDI)などが挙げられます。
いずれも難治性であり、日本ではまだ広く行われてはいませんが、糞便移植という治療法が適応となることもあります。
以下の記事が分かりやすいですので、ご興味のある方は一読くださいね
節約や資産形成も大事ですが、まずは健康ありきだよね と、改めて思った40歳代・女性(勤務医)なのでした。