戦友との別れ
病院へ行った後、薬局へ処方箋を提出して薬が揃う間に駅ビルで食事をした。 エスカレーターでビルの上階にある喫煙所へ向かう途中で、ある店に立ち寄った。 オレの鬱の原因となった会社の事務所勤務になると決まったときにスーツやコートを買った店だ。 そのコートは、オレが会社で泊まり込み残業していたときに、仮眠をとる際の掛布団になってくれた、きついときを一緒に過ごした言わば戦友。 けどあれから10年以上、さすがにもう買い替え時だった。それで買い替えた。 戦友との思い出にボタンだけ外してもらってきた。 それ以外はどうなるのか。 店の人が、リサイクルできる部分はリサイクルします。それが会社の方針です。と、笑顔で言ってくれたので安心した。 そのあと薬局へ戻り薬を受け取り、薬剤師さんに新しいコートを見せびらかして話をしていたら涙ぐんでしまった。 今も、きつい時期を一緒に過ごした戦友との別れが、思っていたよりも寂しかったらしく涙が出てきた。 たかがコートひとつでバカバカしいと、笑うなら笑ってくれ。