『ニルスのふしぎな旅』を原書(スウェーデン語)で読む

『ニルスのふしぎな旅』を原書(スウェーデン語)で読む

知人と二人で800ページを超える原書に挑戦中。

そこで調べたことなどを公開して、スウェーデン語を学習中の人、興味を持っている人と情報を共有できればと思います

私と『ニルスのふしぎな旅』との出会いは、子どもの時NHKのアニメでした。

大人になってスウェーデン語を学習して初めてそれがスウェーデンの地理教育のために作られた本、原書が800ページを超える大作であることを知りました。

いざ実際に読んでみると予想以上に内容が面白く、そしてスウェーデン語を隅々まで疑問を持って読んでみると、これまでいかにいいかげんにスウェーデン語と接してきたことか!

せっかく調べたことをどこかに書き留めておきたいと思い、ブログを解説しました。
1歳6ヶ月の娘をかかえているので更新はスローペースになると思いますが、楽しくて勉強になるブログにしたいと思っています。
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まだまだ寒い日が続きますが、季節は移って春です。入学、進級の季節ですね。
Nilsの勉強を始めたときは赤ちゃんだった娘も4月からは年長組。
幼稚園最後の年となりました。これから一年間でどんな成長を見せてくれるのか楽しみです。

Han var så där en fjorton år gammal, lång och ranglig och linhårig.

今回の単語はår。
gammalとセットで「~歳」という意味になります。

この"å"というアルファベット、なんだか不思議ですよね。
"a"の上に乗っているのは、単に白丸ではなく、アルファベットの"o"です。
もとは"a"で発音していたのが、"o"で発音するようになったということを表しています。


år, (året, år, åren)
år gammal ~歳
今月で5歳になる娘。

つい先日まで、数を数えるのはドイツ語方式でした。
「おかあさん、100よりおおきいの、しってる?
 じゅう ひゃく(110) やで」

ドイツ語方式の数え方って、意外と数えやすいんでしょうか。

しかし、この前の月曜日、ついにスウェーデン語/英語方式になりました。
「おとうさん、ひゃく ごじゅっこね~」

成長ですね~。


さてさて本題です。
Han var så där en fjorton år gammal, lång och ranglig och linhårig.

今回は数字のfjorton 14
スウェーデン語は、英語と同じく13~19までの数字は、一桁の数字の後ろに
10を意味する"ton"をつけます。

13 tretton / 3 tre
14 fjorton / 4 fyra
15 femton / 5 fem
16 sexton / 6 sex
17 sjutton / 7 sju
18 arton / 8 åtta
19 nitton / 9 nio

英語を学習した人からすると、とても理解しやすい数え方だと思います。
余談ですが、同じ北欧の言語、デンマーク語は数の数え方が特殊です。

http://www.sf.airnet.ne.jp/~ts/language/number/danishj.html

フランス語方式に近いかな。
デンマーク語の数の数え方にも驚きましたが、こういう研究をしている方がいらっしゃる
ことにも驚きました。何事も極めることが大切ですね。

ということで、雑談ばかりになってしまいましたが、今回は数詞のお話。

fjorton
数詞 14
14番目の fjortonde
今日はお芋掘りに行ってきました。
幼稚園での芋掘りは、のっぽのお芋が一本だけでしたが、今日は「でぶいもちゃん」「ちびいもちゃん」がゴロゴロ、ボテンボテン。大豊作でした。

...でも、私のイモ料理のレパートリーは焼き芋のみ。
うーーーん、悩ましい...


さてさて本題です。
スローペースにもほどがありますが、何とかNils再開です。


Han var så där en fjorton år gammal, lång och ranglig och linhårig.

基本動詞なので当たり前なんですが、またvar(vara)が出てきました。
今回の用法が基本ですね。

『スウェーデン語辞典』では、

名詞や形容詞などを伴って
「~である」

とありました。

Prismas Engelska Ordbokには、"be"とありました...
まあ、そのとおりなんですが、ずいぶん簡素な解説ですね。

ということで、

vara,
är, var, varit, var!
《名詞や形容詞などを補語として》 ~である
Han var så där en fjorton år gammal, lång och ranglig och linhårig.

今回は代名詞のhan
三人称単数の代名詞で、男の人をさすときに使います。

スウェーデン語の名詞には格変化がありませんが、人称代名詞には格変化があります。

主格  目的格   所有格
han   honom   hans
彼は  彼を    彼の

ちなみに、女の人をさすときはhon

主格  目的格   所有格
hon  henne    hennes
彼は  彼を    彼の



han, honom, hans
(三人称代名詞)
《男の人を指して》「彼は」
Han var så där en fjorton år gammal, lång och ranglig och linhårig.

引き続き、第二文。
今回は、副詞のenとセットで使われる熟語så därを取り上げます。

副詞のenは単独で使われて、「およそ、~くらい」という意味になりますが、så därは、enやomkringなど「およそ」という意味の副詞とセットで使うのが基本のようです。

○ Han var en fjorton år gammal.

とは言えますが、

× Han var så där fjorton år gammal.

とは言いません。
ただし、Lexinの”Svenska Ord”には、sådärが一語になっていて、

om sådär en timme (一時間後くらいに)

という例文がありましたが、sådärが一語になっているから単独で使うことができるのか、後ろに、不定冠詞ではあるけれど、enが来ているから、擬似的にペアとみなされているのか、研究の余地があると思います。

ということで、今回の説明はこんな感じ。



så där
《enやomkringなど「およそ」という意味の副詞と一緒に使って》
「およそ、~くらい」


Han var så där en fjorton år gammal, lång och ranglig och linhårig.

ようやく第二文です。

今回の単語はen
スウェーデン語でenと聞くと、まず不定冠詞を思い出しますが、ここのenは副詞です。

といっても、私はなんとなく読んでいて、このenも不定冠詞だと思い込んでいたのですが、一緒に勉強していた先生から「これは副詞なの?」と質問を受けて、初めて辞書を引きました。

そしたら、あるんですね。enに副詞の用法が。
「およそ」という意味でした。「何となく」読むのではなく、一語一語、意味を正確に考え、構文を正確に見極めて読む大切さを実感した単語です。


en(副詞)
およそ ~くらい
ようやく、第一文 Det var en gång en pojke. 最後の単語varです。

動詞の見出し語をどの形にするのかは、言語によって違いますが、スウェーデン語は、不定形の見出し語が多くて、現在形を見出し語にしている辞書もあるという感じです。いろいろ考えたのですが、ここでは不定形を見出し語にしようと思います。

ということで、varは、動詞varaの過去形。
varaは、英語でいえばbe動詞にあたるものですが、これもまた、その説明だけで納得してしまって、辞書を引く機会が今までありませんでした。

改めて辞書を引いてみたら、スウェーデン語ースウェーデン語辞典では解説も例文も少なく、この形の例文はのっていない。スウェーデン語ー英語辞典では用例がたくさんあったけど、この意味での例文はない。唯一、『スウェーデン語辞典』(大学書林)に、この用法の説明と例文がありました。

この動詞に説明を求めてしまうのは、日本語話者だけなのでしょうか?
そんなことを思いつつ、単語帳にvaraを追加しておきました。


vara,
är, var, varit, var!
《detを主語として》ある 存在する

まだまだ第一文
Det var en gång en pojke.

単語帳を作るのが最終目標なので、全ての単語を網羅しなくちゃいけないですよね。ということで、今回は不定冠詞のen

英語と同様、冠詞というのは、わかったようでわからない存在で、まあそのうち...とこれまで過ごしてきましたが、ここらでじっくりと取り組んでいきたいと思います.

まずはスウェーデン語の不定冠詞にはどういうものがあるのか?
enとettという二つの形があって、後に続く名詞の性によってどちらを使うのか決まります。

共性名詞が後にくれば、en
中性名詞が後にくれば、ett

これは非常に簡単。
次に問題になるのは用法。

全体を一言では言えませんが、数えられる名詞で、内容が特定できないものに使われます。
数えられる、数えられるというのは、どこで線を引くのか?
内容が特定できるというのは、どういうことなのか?

この線引きの加減が難しいんですよね。といっても、今回の文章は比較的簡単。
数えられる名詞で、初めて話題にのぼったときに使われる用法です。
大学書林の『スウェーデン語文法』にも似たような例文がのっていたので、間違いないでしょう。


ということで、

en / ett
不定冠詞
後ろが数えられる名詞で、初めて話題にのぼった時に使われる


余談ですが、この大学書林『スウェーデン語文法』の例文が、
Det var en gång en kung...
とあり、訳が「昔むかし...」になっていました。

en gångの訳に「昔むかし」とあてても、いいんですね。
単語帳en gångにこの訳を追加しておきます。


スウェーデン語文法/山下 泰文

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本日の単語は、pojke。
「少年」という意味の基本単語で、対になる語は「flicka」(少女)です。

この単語、ごくごく基本的な単語なんですが、もともとはフィンランド語からの借用語らしいです。
フィンランド語で「poika」は「少年・息子」という意味。1600年頃にはスウェーデン語に見られた単語というので、日本で言えば関ヶ原の戦いの頃。たとえて言うなら、日本人が「カステラ」という言葉を外来語だと知ったときのような驚きでしょうか。

まあ、スウェーデンとフィンランドはお隣の国なので、それほど驚かなくてもいいんですが、スウェーデン語とフィンランド語の違いを考えれば、やはり驚きです。

実は、スウェーデン語とフィンランド語は全く別の系統の言語。同じくお隣のデンマーク語とノルウェー語が兄弟言語としたら、英語やドイツ語はいとこ言語、フィンランド語は赤の他人。その違いは数詞を見るだけで一目瞭然。

         1 2 3 4 5
スウェーデン語 en/ett två tre fyra fem
デンマーク語   en/et to tre fire fem
フィンランド語  yksi kaksi kolme neljä viisi


陸続きで、ずっと往来があったのに、なんでここまで違う言語なのか。不思議ですよねぇ。
思わず、いろいろ調べてしまいました。


pojke (pojken, pojkar, pojkarna)
少年、男の子



【参考文献】
Elias Wessén『Våra ord』ESSELTE STUDIUM
北欧のことば (双書・北欧)/著者不明

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さて、まだまだ第一文 Det var en gång en pojke. が読み終わってません。

en gångの次に気になる単語がdet。英語のitに相当して、前に出てきた中性名詞を受ける代名詞「それ」として使うのが基本的な用法ですが、ここは第一文なので、この用法ではありません。

このdetはdetは形式主語の一つで、det är ... で、「...がある」という意味になります。
スウェーデン語の学習を始めると「...がある」という表現は、det finns ... をまず紹介されるのですが、実際に文章を読んでいくと、det finns ... よりも、このdet är ... の表現の方がよく出てくるように思います。

ということで、今回の単語detをまとめると、こんな感じ。


det
形式主語のdet
det är ... 「...がある」  ...は、名詞(代名詞)の不定形