2016年2月27日(土)の午後、

ひょんなことから前田家墓地を訪れることになり、

前回ご紹介しましたが、せっかくここまで来たのなら・・・

ということで、小学校低学年の時に、

写生大会&遠足で訪れた「忠霊塔」が懐かしく、

今はどうなっているのか見に行くことにしました。


まずは位置関係を確認しましょう。

いつも散歩に行っている大乗寺丘陵公園の東側、

大乗寺の南側、前田家墓所と同じ野田山にありますが、

前田家墓所より少し山を下った所にあります。




最初に出迎えてくれたのはピンクの椿でした。



木々に囲まれ、きれいに整備された芝生広場です。

私の記憶ではこんなに平坦ではなく、

山の斜面の芝生の上で遊んでいたような・・・。





案内板によると・・・


この墓苑は明治時代に、

陸軍が戦没者の墓地として整備したもので、

古くは戊辰戦争、西南戦争から

太平洋戦争にいたるまでの戦没者が合葬されています。



昭和37年(1962)から石川県が国より譲り受けて

管理しております。

総面積は12,671㎡、苑内には忠霊塔、合葬碑5基、

陸軍軍人の墓、ロシア人墓地、

満蒙開拓者慰霊之碑があります。


県が管理する戦没者墓苑は全国でも数が少なく、

豊かな緑に囲まれた荘厳な雰囲気の墓苑として

多くの参拝者が訪れる場となっております。



一番左の大きいのが忠霊塔です。

忠霊塔の右側に並んでいるのが合葬碑で、

左から満州事変、上海事件、日露役・・・。



遠目から眺めるだけにしました。



せっかくですので、Webから写真を拝借して、

1基ずつご紹介しますね。



【満州事変陣没者合葬碑】




【上海事件陣没者合葬碑】




【日露役陣没者合葬碑】




【征清役合葬碑】




【陸軍軍人合葬碑】




【ロシア人墓地】



忠霊塔の手前左側には石川県満蒙開拓者慰霊之碑。

以前、石川県から満蒙開拓団に参加した人たちの

足跡を綴った分厚い本を読んだことがあります。

私の前の職場の上司も、

5才の時に満州から帰って来た方でした。



忠霊塔にお参りに行きました。







久しぶりに見た忠霊塔は、

思っていた以上に大きかったです!




こちらは管理事務所がある側の手前の参道。

木の下だけ雪がありませんでした。



最後に管理事務所から一番近い所にある

たくさんの陸軍兵士のお墓です。

倒れそうになっているお墓もありました。





車に戻ろうとした時、ちょうど管理事務所の裏手に

こんな看板がありました。



情けないことに「尹義士」の最初の字が読めず、

何だろうね~と言いながら、見に行きませんでした。

「暗葬」という言葉も何となく怖くて・・・。

ちらっと青色が入った国旗のようなものも見えて、

韓国かなあ~と二人で話していました。


帰宅してから調べると、「尹義士」というのは、

尹奉吉(ユン・ポンギル)という韓国人のことでした。


彼は、第一次上海事変停戦交渉中であった

1932年4月29日の天皇誕生日に、

上海の日本人街の虹口公園で行われていた

祝賀式典会場に入り込み、

要人たちに向かって手榴弾を投げ、

日本人二人が死亡、多くの負傷者が出ました。


尹奉吉は現場で「大韓独立万歳」を叫んだ後、

爆弾で自殺を図りましたが失敗し、

日本の関係者に取り押さえられ、

5/21上海派遣軍軍法会議で裁かれ、

死刑判決を受けました。


その後、11/18に大阪の刑務所へ移監され、

さらに12/18に陸軍第9師団駐屯地がある

金沢の軍法会議拘禁所へ移管されて留置。

12/19、7時27分、練兵場のある金沢市内、

三小牛山で銃殺刑に処されましたた。

遺体は隣の野田山の共同墓地に埋葬されました。


ということで、日本側からすると、

今で言うところのテロリストになりますが、

韓国や中国側からすれば彼は英雄なのです。


ハルピン駅で起こった伊藤博文暗殺事件の

首謀者である安重根は記念館ができるなど、

去年だったか一時大きな話題になりましたよね。

でも、尹奉吉は日本ではあまり知られていないそうです。


韓国独立運動の英雄である尹奉吉義士が

1932年12月19日、この周辺で銃殺刑に処され、

暗葬されたことを永久に忘れず、

再び不幸なる歴史を重ねることがないように、

韓日友好親善を願い建立されたのが以下の二つの碑。





ずっと金沢で暮らしていて、

また自宅も比較的近い所にあるのですが、

この尹奉吉が起こした事件や暗葬の地が金沢で、

記念碑も建立されていることを全く知りませんでした。


よくここを訪れるという管理人のおじさんに聞いても、

「知らなかった」と言っていました。

ひょんなことから訪ねることになった墓苑ですが、

よい勉強になりました・・・。