郷里の市役所にて。
窓口の人に教えてもらいながら
書類に亡き父や私の情報を書く。
眉間にシワよせ、
二重顎だわ、老眼だわ、
集中するあまり
酷いありさまだけど
必死に書いて窓口の人に渡す。
窓口の人は、この情報を一斉に全窓口に流して
手続きの有無を
その場で確認するという。
少し珍しい苗字、市役所だもの
知り合いや学生時代の友達やら
いるはず。
どんな遠くの窓口から見られているか分からない。
老眼鏡を外し、背筋伸ばして
ツンとして座り直す。
先ほどの必死な姿よりは、少しはよく見せたい。
郷里の市役所は気が抜けないわ。
最初から最後まで
必死な私に対応してくれた窓口の人が
昔仲良かった人だと気がつくのは
手続きが完了して
市役所から出た後のこと。