時は慶応4年7月。薩長が天皇のお墨付きをとり官軍として旧幕府軍に戦争をしかけた、日本最大の内戦と言われる「戊辰戦争」の話。幕府を支援する東北諸藩が同盟を結んだ「奥羽越列藩同盟」。しかし新発田藩の内部は揺れていた。藩主は幼く、「様子を見て、勝ち馬に乗るのが得策であろう」と同盟への参加を渋る。阿部サダヲ演じる家老の溝口は、同盟軍からの強い参加要請と藩主の意見の狭間で苦しんでいた。そんな時、同盟軍が参加を促すため新発田藩へ軍を派遣。同時に新政府軍も藩主への面会を申し入れていた。もしも両軍が藩内で鉢合わせすれば、城下は一気に戦場と化す。そのため、峠の砦で新政府軍を迎え撃ち、同盟軍が出て行くまでの時間稼ぎをしようと考え出したのが、死罪が決まっている囚人(男9,女1)達に、無罪放免を条件に砦を守れと命ずる。これがこの物語の始まりであり、全てである。
山田孝之演じる政は女房を寝取られた仕返しに、藩の武士を殺害してしまう。捕らえられた政は、死刑を命じられ囚われの身となるが、無罪放免と聞き、砦守護隊に参加する。彼は旧幕府軍も官軍もどちらにも与せず、耳の聞こえない女房に会いたい、女郎屋から救い出したい一心で参加する。この10人の賊軍を指揮するのは仲野太賀演じる鷲尾兵士郎と2名の武士。彼らは迫る官軍をなんとしても砦で阻止しようと、あれこれと知恵を絞り、官軍を食い止めていく。佐久本宝演じる花火師の息子ノロは、知恵遅れであるが火薬の扱いに慣れており、「兵六玉(爆弾)」を作っては官軍を苦しめる。しかし、いかんせん多勢に無勢、仲間が傷つき倒れていく中、鞘師里保演ずるなつが、「私は聞いてしまったんだよ。無罪放免なんて嘘っぱち。この戦が終われば全員殺されるのよ」同様する囚人達、兵士郎もこのことを知らず、野村周平演ずる入江数馬を問い詰める。家老の溝口の企みに一同怒りを露わにするが、もはや引き返す方法はない。やるかやられるか。目の前に官軍が迫っているのだ。この地には、燃える黒い水が湧き出す場所がある。それを使えば兵六玉は雨でも爆発し、威力も増す。その井戸が、官軍が陣を張る後ろの山崖にある。深夜こっそり忍びより、燃える黒い水を敵陣に流し込み、ノロの兵六玉が大爆発を起こす。これが最後の戦いの合図であった。次々に倒れる仲間達。しかし遂に官軍を駆逐した賊軍の前に新発田軍が家老を筆頭に現れる。囚人達を始末するためだ。兵士郎は「自分もこれから賊軍である」と言い残し、失った右の指を補うため刀を右手に強く縛り付け、新発田軍に斬りかかる。一人で多くの兵士を倒し、ラスボス家老の前に立ち塞がり、刀による勝負を挑む。これに応えた家老の右手には拳銃が握られていた。あえなく倒れる兵士郎。こうして10人の罪人と1人の武士で11人の賊軍の戦いは終わる。なつとノロは逃げ延びて、政の望み通りに女郎の女房に形見の手ぬぐいをわたし、金を渡す。
こして新発田藩は周囲の藩からは大きな恨みを買ったが事なきを得て、城下は平穏のままであったとさ。お・し・ま・い。
爆発音がすごい。10番シアターの音響では耳がおかしくなるくらいにでかい音で驚いた。ゆりあんリトリィバァとか千原せいじとか、お笑いがキャストに多いのは、やや腰砕けになってしまって緊張感が緩んでしまう。山縣京介を演じた玉木宏、殺陣の名人、本山力など実力派が多数いるなか、お笑いはいらんだろう。
「荒野の7人」を彷彿とさせる155分の長編映画だった。
★★★☆☆