映画#30 侍タイムスリッパー | なんのこっちゃホイ!

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そういう映画があることだけは、夏頃から知っていたが、あまりにベタなタイトル、全く知らないキャスト。完全スルーしていた作品。最近、いきなりメディアやなんかでこの映画が爆発的ヒットをしていることを知った。公開当時は、全国で単館公開(1映画館だけ)であったのに、話題が話題を呼び、客が客を呼び、全国120館以上で公開されているという、映画。「カメラを止めるな」的インディーズから飛び出した、いわば瓢箪から駒的な。監督は自腹を切りまくり、口座に7000円しか残らなかったとか、実は農家を経営していて、めちゃめちゃ忙しい人らしいとか、まぁ、そんな話が耳に入ってきた。

 

時は幕末、京の夜。会津藩士高坂新左衛門は密命を帯びて命を狙う、長州藩士と刃を交えていた。その時、一天にわかにかき曇り激しい雨と雷が二人の藩士の頭上で鳴り響く。

高坂新左衛門が目覚めると、そこは江戸の街であった。京にいたはずが、なぜ江戸に。不審に思う新左衛門。人声に気づき路地を曲がった所では、町娘が素浪人に絡まれている。すわ!と思った矢先、そこに現れたのは、世直し侍、心配無用ノ介。すらりと刀を抜いて名を名乗ると、狼藉者は蜘蛛の子を散らすように逃げ去った。そこで「カット!」の声。「じゃ、本番いきます!」先ほどと同じ光景が繰り返される。思わず新左衛門、「無用ノ介殿!助太刀いたす!」と刀を抜いた。再び「カット!こいつ誰なんだ。放り出せ!」そこは京都太秦の撮影所。「世直し侍」の収録最中であった。

新左衛門は、ただものとは思えぬ刀さばき、更にオリジナル以外何者でもないちょんまげをゆい、普段から侍言葉を話す。「拙者には、剣の道以外はない」と殺陣の師匠に弟子入りし、切られ役をやることになった。

そんな時、先生と呼ばれる時代劇俳優風見恭一郎からの指名で、風見が作る新たな時代劇に主演級の役で出演の話が舞い込む。とんでもないと断る新左衛門の前に現れた風見恭一郎。その顔を見たとき、新左衛門は氷つく!

 

金は多分かかってないし、知らない関西系の役者ばかりだし、タイトルロールでは監督の安田淳一の名前が色々なスタッフ仕事で出てくるし、助監督の沙倉ゆうのは、映画の中でも助監督役で出演しているし、その他スタッフ仕事も一杯やっているようで、何度も何度も名前が出てくる、完全手作り映画なのだが、どこかその真剣さが伝わる緊張感のある画面、関西人ならではの笑いのツボ、幕末の武士としての矜持。伝わるものがビシビシ伝わり、最後まで目を離せないいい映画でした。

 

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