映画#47 怪物のきこり | なんのこっちゃホイ!

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世の中の、これでいいのか、こんなことでいいのかを描くブログ。そんなにしょっちゅう怒っていられないので、ほどほどに色々な話題も混ぜていきましょう。

連続幼児誘拐事件を追っていた警察は、その犯人を突き止めて、ある屋敷に踏み込む。そこには、誘拐された15人の幼児の遺体と、女医、その夫がいたが、犯人と思われた女医は、警察の前で自殺をとげてしまう。警察は大失態をさらしてしまった。

 

それから数十年が過ぎ、今東京では、斧で人の頭を何度も叩き割り、脳を持ち去るという、連続殺人事件が続いている。その犯人は、「怪物のきこり」という絵本に出てくる殺人鬼のお面をかぶって犯行に及んでいる。女性プロファイラーの戸城嵐子(奈々緒)は、事件を調べる内に、殺された犠牲者には共通点があることが分かった。全員、孤児院の養護施設の出身者だった。施設に共通点はない。

 

弁護士の二宮彰(亀梨和也)は、強烈なサイコパスでもある。彼の暴力は、常軌を逸している。だが、普段は敏腕弁護士としての仮面をかぶり、彼の事務所のシニアパートナーの娘、荷見映美(吉岡里帆)との交際を続けている。映美の父親のシニアパートナーがビルの屋上から飛び降り自殺をしてしまう。心がどん底へ落ちている映美を二宮は、優しく包み込もうとするが、映美は二宮の中に、何か漠然とした不安を抱いている様で、恋愛は思うように進まない。そんなある日、二宮が駐車場で襲われる。斧をもった怪物のきこりのお面をかぶった犯人にだ。抵抗する二宮に犯人が投げつけた斧が頭にあたる。幸い、刃先ではなく後ろ側が当たったので、傷はたいしたことはなかったが、その医者が「脳チップを入れているようだが、繊細なものだから、今回のけがで壊れていなければいいが」、と伝える。二宮は驚き、息をのむが、その場はなんとかしのぎきる。

彼自身、脳にあるチップについて、何も知らなかったのだ。誰が、いつ、何のためにそんなものを頭に入れたのか。

 

二宮自身も施設の出身であった。やはり、施設の前に、一人で置き去りにされているところを施設に保護された親は分からないが、時々不振な電話があったと施設の先生が言う。「プライドが高く、協調性がないというようなことはないか」。時々、それを電話で尋ねていた女性がいたらしい。その質問は「サイコパス試験」と呼ばれるものに近かった。

 

謎は深まるが、犯人像は見えてこない。

 

三池崇史監督作品は、バイオレンスを描いている作品が多いが、実は「神様のパズル」という天才物理学少女と、落ちこぼれ大学生の作品を撮っている。谷村美月を観たくて劇場に行ったが、ラストがおちゃらけてガッカリして以来、あまりこの人の作品を評価していなかった。

今回も、とにかく「血・血・血」の描写が多く、「そんなことで、こんなに血が出るのかなぁ」と思うくらい血が流れる。

節度はあるものの、これでもか!とバイオレンスを突きつけてくる。僕は疲れてくる。

 

大物俳優が登場するだけで、大体犯人は分かってしまう類いの映画だ。あの俳優を使っておいて「彼は無関係でした」とはいかないだろう。

 

なんだか、ビジョンと意味がよく伝わらない映画だったなぁと少し残念だが、映画自体はそれなりに面白いので、亀梨和也、奈々緒、吉岡里帆、染谷将太のファンなら、楽しめると思うよ。俳優は、頑張っていると思う。