
アンダルシアを鑑賞。
前回作の「アマルフィ」は、ストーリーはまずまずだったが天海祐希の、臭くてくどい演技で、かなり台無しだったと思うが、今回の「アンダルシア」は、ストーリーも役者も、非常に力が抜けてというか、余裕を持ってというか、かなり前回作よりは面白かった。特に、前回作、さらにテレビシリーズでは、ジェームス・ボンドになろうとして、なれなかった織田祐二の演技が空回りしていたが、今回は一皮向けたのか、織田らしい黒田を演じていたのが好感が持てた。黒木メイサは、複雑な役どころだが、淡々と演じていて、その美しさは、ひと際目を引いた。
冒頭、スペイン北部の小国アンドラのホテルの一室で、一人の日本人投資家が、銃で頭を撃たれて死んでいる。髪の長い日本人女性が、懸命に机上のPCを操り、パスワードを探している。彼女は急いでいた。おもむろに、部屋をかき回し、書類を燃やし、トイレに流し、グラスを洗い、金目当ての泥棒の仕業と思える工作をして、PCをもって部屋を出ようとする。その時、エレベータで別の宿泊客が賑やかにフロアに降りてきた。慌てて部屋に戻る彼女。そしてランドリーバッグにPCを詰めると、部屋のベランダから雪が降り積もる庭に、PCを投げ捨てた。そして、何食わぬ顔で部屋を後にしたのだった。
事件の第一発見者は、彼女だった。彼女は、ビクトル銀行の行員、新藤結花(黒木メイサ)。あの工作をした女性だった。彼女は、彼の部屋に入った時には、彼はすでに死亡していたと供述。
サミット警護のためにパリを訪れていた黒田康作(織田裕二)は、インターポールの警察官神足誠(伊藤英明)と共に事件現場で彼女の供述を聞く。しかし、黒田は、供述と部屋の様子にある矛盾があることを見つける。
死亡していたのは、川島という日本人で、現警察庁長官の息子であることが分かる。しかも彼は、欧州における巨大なマネーロンダリングに関与していた可能性も。警察庁長官の息子が国際的マネーロンダリング組織と繋がっていることが発覚すれば、長官の首が飛ぶばかりか、その献金を受けていた、総理の首まであぶなくなる。しかも彼が扱っていたのは、暴力団絡みの闇の金だった。
果たして、新藤結花とは何者なのか。なぜ彼女は嘘の供述をし、何から逃れようとしているのか。黒田は外務省高官から、これ以上の事件への関与を禁止された。神足も同様に、事件から手を引くよう、警察庁から指示を受ける。正義を貫くのか、組織に服従するのか。二人の心は決まるのか。
全く目が離せない展開で、冒頭からずっと引きずりこまれる。例によって、スペインの景色は限りなく美しく、そこで描かれる人間模様、人間の欲、そしてその裏にある、真実とは!?
お勧めです。