僕ははっきりきっちり二十世紀少年であるから、地球防衛軍の通信装置やジャイアントロボの腕時計型リモコンなんかに憧れて育った。
電話機と言えば真っ黒でジリリンと鳴り、なぜか玄関のげた箱の上が定位置であった。しかもほこりよけに綺麗な布製のカバーがかけられており、家の中ではテレビに次いででかい顔してた。
その頃テレビでは、ウルトラマンが活躍し、地球防衛軍が地球を守ってくれていた。彼らの左腕には小型通信機がまかれており、バカっと画面を起こしてアンテナを引っ張ると、隊長の顔が移り、会話ができる。僕はあの電話が欲しくて欲しくて仕方なかった。おもちゃの通信機を買ってもらい、ハヤタ隊員になった気分で未舗装の通りを、銀玉鉄砲持って走りまわってた。玉にあたると、10数えるまで死んでないといけない。その間に道路に落ちている玉を集める。弾丸の補充だ。10数えたら自慢の通信機の画面をあけて大声で自分の復活を叫び、再び戦場へ戻るんだ。
そんな子供時代の夢の電話機が完成し発売した。構内の内線専用で、外で携帯にはならないが、内線ならメッセージは届くし、通話もできる。用途としては、病院の医師や看護士、ホテルのフロアスタッフなんかがターゲットだ。携帯電話にしようと思えば、そんなに難しいことではないようだけど、こんな電話機腕に巻いてくれる人って、一部のフリークしかいないだろうなぁ。麻生さん、使ってくれるかな。
時代は21世紀になっているが、2001年になったとき、「実感として、なんだか何にも変わらないなぁ」と思ったのを覚えている。やっぱりビルを間を車が一列に並んで飛んでいたり、長い透明なチューブの中を電車が走っていたり、未来都市のイメージってそんなんだったけど、何だがそんな風でもない。東京に出てきて確かに高層ビルには慣れっこになったけど、これはやっぱり子供の頃に想像した、未来の姿とは何かが違っていた。
しかし、こういうシュールに子供心をくすぐるような、未来志向(?)の製品ができると、妙に心がウキウキしてくるんだ。