小説は読んでいたので、かなり期待していた作品ではある。
TVドラマの「ガリレオ」は非常にいい出来で、湯川役の福山雅治が、まさにイメージピッタリの当たり役だと思っていた。というよりは、むしろ彼のイメージが焼き付けられたというべきか。柴崎こうも、いい味出していて、これも当たっているな。元々ガリレオシリーズのオリジナルには登場しない内海薫だけど、ドラマ化にあたり作者である東野圭吾に「オリジナルキャラとして、女性刑事を登場させたい」と相談を持ちかけたところ、快くOKが出て、その後の原作小説にも、内海刑事は登場するようになった。
主人公は、母子家庭の母と娘。その分かれた夫が、どこまでも二人につきまとい、金をせびりにくる。その日も、金をせびりに来た元夫が、娘に触れようとしたことから揉み合いとなり、はずみで母子は、夫を殺害してします。冒頭のこのシーンは小説でもかなりリアルに描写されていて、ここから既にストーリーにグイグイ引き込まれてします。しかし、この騒ぎを聞いていた男がいる。隣にすむ高校の数学教師である。この教師は、弁当屋をやっている母子家庭の母親に想いを抱いており、ただならぬ隣家の騒ぎに、様子を尋ねにやってくる。そこで、全てを理解したこの男は、愛する女性とその娘を守るため、完全犯罪を目論む。
多摩川の河川敷の公園で、男の死体が発見される。顔は潰され、指紋はやかれ、衣服は剥がれて全裸で倒れていた。近くには、男が乗ってきたと思われる自転車が発見されるが、それは盗難届けが出されている自転車だった。一体、この男は誰なのか。刑事の草薙と内海は、男の身元を洗い始める。やがて浮かびあがる男の正体。状況証拠から判断できるのは、無職の男、富樫慎二であると判明。その男の足取りを調べる内に、元妻である花岡靖子が捜査線上に浮かぶ。そう、母子家庭の母親である。しかし、彼女とその娘、美里には、完璧なアリバイが存在した。
行き詰る捜査。いつものように、草薙刑事と内海は、東都大学准教授の湯川学を訪ね、捜査への協力を求める。しぶる湯川学(ガリレオ先生)だったが、現場となったアパートで、親子の隣人、石神哲哉を見かける。それは、湯川が学生時代、唯一天才と認めた数学学者だった。彼がこの犯罪に関与しているのか。だとすれば、その計画は用意周到で、普通の刑事では破る事はできないかもしれない。
親友の関与を疑いながら、ガリレオ先生は、事件の調査を始めることになる。
トリック自体は、よくできている。ストーリーも良いし、人物も描けている。ガリレオ先生の苦悩も、よく描けている。僕的には、久しぶりの邦画ヒットだと思う。
評価:★★★★★