お正月のTV番組はつまらない。
出演しているのは全部吉本のお笑いで、同じようなことばかりやっている。全く知性のかけらも感じられないような内容の番組が非常に多い。「福笑」という言葉を勘違いしている幼稚なプロデューサーが作っているに違いない。白痴的笑い等、求めてはいないのだ。
しかし一方で、古代史を取り上げた番組も作られていて、これは楽しかった。新聞を見ると3元日の間に何と7つもの古代史関連番組が組まれているようだ。それもどうでしょうか。出てくるタレントが違うだけで、中身は同じようなものばかり。インカの宝に、黄金都市、ピラミッドの謎。おきまりの話題ばかりが取り上げられている。これも芸がない。
で、僕はいつも正月3日は退屈している。
以前から会社の看護士 S女史から拝借していた本なのだが、読まねばならないものが多くて、ここまで読まずに来た本を手に取った。万城目(マキメ)学さんは、デビュー作の「ホルモー」をやはり S女史から拝借して読んで、「なんだか荒唐無稽な話を書く人だなぁ~」と思っていたが、舞台が奈良や京都で、関西出身の僕には楽しい。その方の2作目ということで、読み始めることに。
東京で大学院に通いながら、教授の助手をしている主人公「おれ」は、担当教授から突然、「奈良の女子高で教師をやってくれ」と言い渡される。知り合いのいる女子高で教師が一人、産休を取ることになり、代打を探している。君がいると、君のライバルが研究に専念できないから、君はしばらく奈良に行けといわれたわけだ。
奈良の女子高へ代打教師になった初日、遅刻してきた魚顔(目と目が離れている顔)の「堀田イト」という生徒が遅刻してくる。理由を聞くと「自転車で駐禁を取られたからだ」という。バカにするなとどなった「おれ」だが、その後生徒による陰湿なイジメが始まる。
奈良といえば鹿である。鹿に煎餅をやっている内に、自分も煎餅を食べたくなって、鹿煎餅を一枚食べてしまった「おれ」に、一匹の雌鹿が声をかけてきた。「お前は鹿の運び者に選ばれた。狐の使い者から神宝(たから)を受け取ってここへ戻ってこい」頭に直接語りかけるように聞こえてくる鹿の声。「運び者」?「使い者」?、狐に鼠?それは一体何の話だ?神宝(たから)とは何で、そしてそれは何をするものなのか?
人類の危機を救うために、鹿、狐、鼠の間を60年に一度、持ちまわしにされる神宝をめぐって、荒唐無稽な冒険が始まる。
ナンセンスではあるが、読み始めると止まらない。筆者の筆力を感じさせる文章だ。笑いたい方にはお奨めですよ!
