(上)を読んでから、かなり日数が過ぎてしまったが、図書館で貸出中でなかなか順番が回ってこなかった。(上)はすぐに借りられたのに、(下)が順番待ちということは、(上)を読まずに(下)から読む人が多いのかなぁとちょっと不思議に感じた。
さて、以前にもご紹介したが、地球温暖化の影響で水位が上昇し、その国土が水没してしまう危機に瀕した独立国家バヌーツが、温暖化ガス排出量の多い米国を、地球温暖化の張本人として訴訟を起こす場面から(上)は始まった。そして、気象を自由にすることで、世界を恐怖に陥れようとしているテロリスト集団の存在もちらつかせながら、(上)は終わった。
(下)は一転、「地球温暖化等という問題は、実は存在していない。温度が上昇しているというのも、嘘である」という観点からの多くのデータを提示するところから始まる。地球は30億年の間に、様々に変化をきたしており、気温の変化はその際たるものではあるが、昨今言われているような、ここ10年で2度上昇するとか、過去100年で3度上昇したというのは、真っ赤な嘘である。どちらかというと、場所によっては低下している場所もある。
都市圏の温暖化は実は気象の変化によるものではなく、ヒートアイランド現象等の構築物や道路の整備に起因するもので、それは都市部では観測されるが、そういうもののない地域では、地球の気温はほぼ一定しているというのだ。では、何故、誰が地球の温暖化を煽り、世界を煽り、何のためにこのような風評を世界規模で流布しているのか。
テロリストはどこにいて、何をしようとしているのか?レゾリューション湾の沖合い海溝で仕掛けられた爆弾、そして海溝内の地すべりは、地球の裏側カリフォルニア州にどのような影響を及ぼすのか。高さ20mの洪水がカリフォルニアを襲う?その目的は何か。そしてそのテロを防ぐことができるのか?
あとはクライトンお得意の一気呵成になだれ込むジェットコースターの始まりだ。その短い章立てと目まぐるしい場面の転換、短いセンテンスの連続は、嫌が上にもスリルを高め、危機感を高め、最後まで一機に連れて行ってくれる。
評価:★★★★☆