今日、非常にいい話を聞いた。
先日、ホワイトソックスからフィリーズへ電撃トレードしたメジャーリーガー井口選手についてである。
日本では「トレード」という言葉には、非常にネガティブな響きがある。
そのチームではもう使えない、実力のない選手だから、どっかのチームのもうちょっとマシなのと取り替えるというイメージである。
ところが彼が言うには、メジャーは違うらしい。なんと、優秀だからこそ、「トレード」に出されるのだそうだ。
フィリーズのアトリー選手が怪我で戦列を離れた。アトリーは3割5分の打率を誇るフィリーズの中核選手で、この選手を怪我で欠いたフィリーズは攻撃力も落ちるし勝率も落ちる可能性が高い。
そこで、アトリーに変わる選手を、どっかの球団から探してくる必要があるというわだ。
メジャーリーズ全体のバランスや事業を考えたとき、フィリーズの人気衰退は困るというわけ。
これは、日本の野球とメジャーの野球は根本的に違うから起こる、誤解なんだそうだ。
日本のプロ野球は、言わば各チームが各企業であって、それがセ・パに分かれて経営している。言ってみれば個人商店の集まり、商店街的な組織になっているんだそうだ。
それはそうだろう。なんとなくわかる。
しかしメジャーリーグは一つの会社であって、各チームは言ってみれば事業部のようなもの。
だから、ホワイトソックスからフィリーズにトレードに出すということは、総務部から経理部へ転勤するようなもので、日常茶飯事なんだそうだ。
今回もその発想からすれば、アトリーが戦列を離れたらすぐに、井口が転勤でフィリーズに来たというようなものである。しかし、この会社は、完全能力主義だから、その転勤先で答えや結果を残さなければ、また転勤させられる。社内でほしいと言ってくれる部署がある内は花だが、その内社内でも受け入れ先がなくなると、マイナーという部署へ転勤させられる。もちろんここでも結果を残せば、花形セクションであるメジャーに帰り咲けるが、もしも結果が残せなければ、そのまま定年を迎えてしまうというわけ。
分かりやすいがなぁ!
それを知っていればこそ、井口のトレードは電撃であっても、井口は文句も言わずに転籍した。
まぁ、これは転勤だからだ。
アトリーが復帰した後、井口はどうなるかというと、これはまだ分からない。人事はあくまで、蓋をあけるまで分からないのと同じなんだそうだ。
優秀な社員は、それなりをキャリアを積むように転勤を繰り返す。
ジェネラリスト=経営幹部候補生というわけだ。
しかしそんな時代はそろそろ終わりで、専門知識のある社員=プロであり、プロが喜ばれる時代になってきた。
サラリーマンも、転勤ごときで落ち込まず、井口のように、新たな部署でパッカーンとホームラン、かっ飛ばしてほしいものだが、グチグチいうやつが多いのが実情だな。