成果を冷静に評価しましょう
仕事柄、西洋医学に不信感を持つ方に多く出会います。
その中には、西洋医学に不信感を持った反動で、東洋医学やそれ以外の民間療法などにすっかりハマってしまう方がいるようです。
こうしたハマってしまった患者さんと対応するのは大変なことで、上手く成果が出ている時は良いのですが、成果が上手く出ていない時には対応に苦慮します。
鍼灸治療による成果が出ない場合、私が取る対応は大きく二通りになります。
一つ目の選択肢として、そのまま治療を継続しながら、治療法の選択や頻度の調整などで変化を持たせるものです。
今までに取っていなかった方法を試したり、治療頻度を高めることで成果を挙げるように努めます。
但しその場合も、期間を設定して治療を行うことになりますし、その期間内に成果が挙がらなければ、再び今後の治療計画を立てるか二つ目の選択肢を取ることになります。
そして二つ目の選択肢としては、転院を含めた鍼灸治療の中止という選択肢です。
自分の治療では成果が望めない場合には、それ以上治療を引っ張らないのがお互いの為だからです。
また二つ目のパターンに当てはまる方は、これ以上自分の治療院で施術するには大きなリスクが伴う場合があります。
何故ならそうした方は当院における鍼灸治療の不適応疾患や不適応症状である可能性が高い為、そのまま継続して治療をすることで、症状が悪化したり予後が不良になる可能性が高いからです。
治療院(病院)選びの原則として、『奇跡の治療は期待してはいけない』というものがあります。
その治療院(病院)の一般的な治療で当たり前に治っていくような方法を選ぶことが最善で、一か八かの治療方法や低い確率でしか再現しない治療法を選択してはいけないのです。
それにも関わらず、西洋医学や東洋医学といったジャンルに拘りを持って治療を受け続ける方が多くいらっしゃいます。
西洋医学に不信があるため、何とかそれ以外の方法で治療を受けたいという気持ちは分かりますが、お互いにリスクがある行為は避けるべきです。
治療家側としては、後遺症を残すような事態に関与することになりますので、加害者として訴えられることを避ける為にも、成果の挙がらない治療を長々と行うべきではありません。
勿論患者側としても、心情や拘りだけで治療法や治療院(病院)を選ぶべきではありません。
そうした行為は変な新興宗教にハマった人と同じで、気付いた時には人生を棒に振っていたということに繋がるからです。