視野狭窄を持つ方が人身事故を起こしたら | 大阪日本橋 眼科鍼灸の鍼灸ひより堂

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冷静に運転の可否を考えてみましょう

 

 当院にご来院される患者さんの中には、様々な眼科疾患により視野の欠損や狭窄を持つ方がご来院されます。

 

そうした方のお話を聞いていると、かなり高度な狭窄や欠損をお持ちの状態でも、車の運転を継続している方がいらっしゃいます。

 

そこでここに令和4年に国土交通省に出された、「自動車運送事業者における視野障害対策マニュアル」がありますので、ご興味がある方は是非ご覧下さい。

 

https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/03manual/data/visual_field_impairment_manual.pdf

 

 実際に死亡事故を起こした場合、既に視野障害の自覚があったかどうかは大きな争点になるようです。(当院にご来院の場合には既に自覚があるということになります。)

 

ちなみに上のマニュアルで書かれている事故の例では、2015年に旭川市であった死亡事故のことが書かれています。

 

この事故では、事故前に網膜色素変性症(障害者手帳2級)であることが分かっていたにも関わらず死亡事故を起こしたことで、この運転者に重過失を認め2500万円の賠償金が認められています。

 

 

事故の概要を見ると、青信号で発進した直後に横断した自転車を撥ねているようなので、状況的には信号無視のようではありますが、民事裁判では上記のように賠償が認められています。

 

ただ死亡事故にしては賠償金が低いので、被害者にもある程度の過失は認めたのかもしれません。

 

もし信号のない交差点で同様の事故が起これば、加害者の過失は更に高くなり、億単位の賠償金となるでしょう。

 

 更に実際に事故を起こしてしまうと、自分では視野障害のことが分かっていたわけですから、自責の念から逃れることは難しいでしょう。

 

当院でも過去に歩行者同士ではありますが、視野障害を伴う眼科疾患をお持ちの方が、前を横切った老人とぶつかり怪我を負わせてしまうことがありました。

 

この場合も過失は相手側にある状況でしたが、相手が高齢者であり大怪我に繋がったことと、自分が全く相手に気付かなかったことに大層落ち込んでいらっしゃいました。

 

これが自動車での死亡事故であれば猶更です。

 

 またこうした事故の場合、保険会社がどのような対応になるかも調べてみました。

 

私がかけている自動車保険の代理店に聞いたところ、こうした視野障害の自覚がある方が起こした事故の場合、被害者の医療費や慰謝料などは保険で支払われるようですが、それ以外のものに関しては自腹になるようです。

 

つまり、

 

・被害者の治療費など⇒保険会社(人身事故分)

・被害者の物損分⇒事故を起こした加害者

・加害者の治療費など⇒事故を起こした加害者

・加害者の物損分⇒事故を起こした加害者

 

の支払いとなるようです。

 

実際にはこれに過失相殺などが行われますが、次回以降の保険契約はほぼ無理でしょうし、契約期間中でも途中解約をされると思われます。

 

 また大事な点として、その視野障害がどの程度で医師などからどのような注意を受けていたかによっても変わりますので、視野障害のある方は運転の可否について、医師に確認して頂いて方が良いと思います。

 

特に医師から「運転は控えた方が良いかな。」程度の言われ方をしている方は、どうしても自分の都合で運転を続けがちです。

 

自分の視野障害と運転能力、そして生活の状況を冷静に分析し、本当に運転を続けていて良いのか、他に方法はないのかなどをよく考えてみることも大事だと思います。