色々な例から眼科疾患に対する鍼灸治療の適応や自己決定権(責任)を考える | 大阪日本橋 眼科鍼灸の鍼灸ひより堂

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鍼灸治療が適応ってなんでしょうか?

 

 こちらのブログの中でも繰り返し、眼科疾患に対する鍼灸治療には適切な時期というものがあり、手遅れになってしまうと対処法が無くなることを書いてきました。

 

 ここ最近私にご相談頂いた鍼灸不適応のものや、鍼灸治療が中止になったものから幾つかをご紹介させて頂いて、眼科疾患の不適応や自己決定権(責任)についてお話ししたいと思います。

 

<その1>とある緑内障の方

 

 この患者さんは、緑内障により視野・視力共に著しく低下しており、特に片側は既に失明状態でした。

もう片方の視力を失いたくないということでご来院されましたが、既にそちらにもかなりの視力低下が見られました。

 

そこで片側の視力や視野の維持を目的に鍼灸治療を開始しましたが、視力や視野の回復のみを強く望んでいたことから数回で施術を中止しました。

 

 本人が希望する治療目的と予想される結果の乖離が大きい場合、折角鍼灸治療で成果が出たにも関わらず、不満だけが残ることになるため中止となることがあります。

 

ある意味では不適応とも言えますし、逆に少しでも変化があれば良い場合や、機能の維持が目的の場合には適応となります。

 

<その2>とあるレーベル病の方

 

 これは複数似たようなご相談があった例ですが、レーベル病は鍼灸治療を受ける時期と患者の年齢により大きく結果が変わります。

年齢が高くなるほど回復は難しくなり、視力が下がり切った底の時期から時間が経つほど回復が難しくなります。

 

そのため年齢が40代や50代の方で、視力が底の時期から1年以上経過してしまうと、ほぼ回復は難しいと言えます。 

ご相談頂いた方もこうした状態だったため、施術をすることはありませんでした。

 

ただその状態でも可能性を信じて鍼灸治療を開始する場合には、3ヶ月から半年程度と期間を限定して施術をすることがあります。

 

<その3>とある網膜色素変性症の方

 

 網膜色素変性症による視野狭窄と視力低下があり、更に緑内障を併発してしまったが、緑内障を発見するのが遅れたため視野狭窄と視力低下が進んでしまっていた。

 

来院時にご説明をして、小規模の回復と進行予防を目的に施術を開始しましたが、結果的には回復への期待が大きかったため、進行予防だけなら必要ないということで中止となりました。

 

<その4>とある加齢黄斑変性症の方

 

 この方は加齢黄斑変性症による視力低下や視野の歪みでご来院され、症状改善を目的に鍼灸治療を開始しました。

無事視力や視野の回復を認め、画像検査でも網膜上のドルーゼンが小さくなるなどの変化が見られました。

 

通常はこのまま頻度を減らして再発予防目的の施術になるのですが、ご本人の希望で生活改善のみで状態を観察するということでしたので施術を中止しました。

 

この方の場合には、比較的理想的な結果が出たのですが、しっかりと説明を理解した上で、ご自身の責任で自己管理したいということでしたので、納得の上で中止したということになります。

 

最終的には本人の意思次第

 

 色々な例を書きましたが、最終的に鍼灸治療の開始や継続を決めるのは本人の意思次第となります。

もちろん適応や不適応はありますが、自費治療であるため絶対的な不適応であっても鍼灸治療を受けることは可能です。

 

逆に適応であっても本人の意思次第では中止することもありますが、その結果は自己責任になってしまうため、視力が視野が低下しても時期を逃せば回復することは出来なくなります。