合気道に武農一如（ぶのういちにょ）という言葉があります
これは武道も農業も違うもののように見えますが、実は同じものであるということを説かれています。
以下、達人になったつもりで私見を述べさせて頂きますが、ただの独り言ですので御容赦下さい🙇💦
農業と一口に言っても、化学肥料や農薬を使うような農業ではなく、自然との調和を図る農業のことを指します
自然の力を利用した農業では、福岡正信氏の自然農法が有名ですが、それ以外にも沢山の農法があります。どの農法が良いという話ではなく、自然と向き合った農業に取り組むということが大切なのです。
自然と向き合った農業とは、目に見えない微生物が育む大地の力、風の流れ、太陽と水の恩恵を受けて植物を栽培することにあります
しかし、植物は種をまいただけで簡単に育つものではありません
植物が育つ環境というものがあります。乾燥気味が好きなもの、水気が多い方が良いもの、日陰が好きなもの、アルカリ性または酸性の土壌が良いもの、暑さ寒さに強いものや弱いものもいます。
そういったことを考えながら、自然との調和を図っていく必要があります
野菜を育てるとして、元々そこに育っていた植物ではなく、人が持ち込んだものですから、調和が崩れることも多いです。
調和が崩れると病気になったり、虫に食べられたり、背が伸びずに小さいまま実をつけなかったりします。
ちゃんとした野菜を育てる為には、否が応でも自然と向き合う必要が出てくるのです
そうしていくうちに愛情が芽生え、自然の偉大さ、畏敬の念、感謝の心が湧いてきます
誰もが、というわけではありませんが(笑)
ですが、その事に気付いた人と気付かない人とでは、同じ野菜を同じ場所で育てても、その出来は全然違うものになります。
自分自身も自然の一部なのだということを頭だけではなく心も體（からだ）も実感していく。
自然と繋がるということが大切なのです。自然の一部となることが。
自然は身の回りに見えているものだけではなく、広い世界があるということ。地球、宇宙
その存在の中で自分自身がどう在るべきかを知り、動いていく。大自然の中の個
これらの事は全て、合気道に置き換えることができるのです。
合気道も農業も、自然と和することにあるのですから。
自然と繋がる、和するということは“結ぶ”ということ
敵は自分の心が作り出します。相手と一つになることで敵対する心が失せていきます。相手と一つになる、宇宙と一つになるということ。争わないから敵はいないのです。
合気道では相手と一つになり、地球と宇宙に同調します。
このことを理解すれば、合気というものは相手にかけるだけではなく、自分自身にもかけているのだということが分かるはずです
自分も相手も宇宙全体からすれば見えない微生物のようなもの。相手がどう動こうが、自然の中では小さな事象です。
自分自身が自然と繋がっていれば、相手の動きに合わせて體（からだ）が動くだけ、自然に則した動きをするだけなのです。
相手が自然と繋がっていれば当然争うことはありませんが、相手が自然とは繋がらずに行動を起こしたとき、それは不自然な行いなのです
仮に襲われたとしても、そこに愛情をもって接します
風や水の流れを崩さないように相手に優しく触れていく
自然との調和を崩さないように相手の心を受け取り、自分の愛情をのせて返してあげる
相手の力を奪うだけでなく返してあげる。
これも自然のカタチです。
自分は自然と在り、相手は不自然と成る。
自然と自分と相手が繋がる
相手を自然の世界へと導いていく、同調していく
“結ぶ”
不自然な相手と自分が繋がり、大自然の中に溶け込んでいけば結末は容易に想像できると思います。
相手は“私”を相手にしているのではなく、大自然を相手にしているのですから
剣術の相抜けも似たような境地だと想像します
自然と繋がる、和するということは“結ぶ”ということ申しました。
和するというのは愛を注ぐこと。
生きている、生かされている歓びをもって命を大切にしていく。
生きることは息をするということ。
息を吸うとは自然を取り込むこと。
息を吐くとは自然に返すこと。
吸う息で結び、吐く息で導く。
呼吸、朝夕、表裏、左右、陰陽、男女。
すべては2つで１つ。
戴くだけではなく、御返しすることの大切さ。カタチや大小をもって御返しするのではなく、愛をもって接することの大切さ。ただこれだけなのです。
私達の文明も、自然から奪えるだけ奪うのではなく、恩恵を受けたら返していく、地球に愛情を注いでいくことが必要なのかもしれませんね
おしまい