前回の続きです。
脚にギュギュッと力を入れるのがなぜダメなのか。
脚に自分で力を入れると、たいていの人が膝の上辺り、太ももの前側、太ももの外側の筋肉に力が入ります。
その力は『働いている』のではなく『固める』『りきみ』です。
筋肉が働くというのは、骨を動かした結果筋肉が動いたことを言います。
力を入れても骨は抑え込まれて動かないこともあります。
膝、脚に力を入れることが、どのように作用するのか画像を用意しました。
大腿直筋。
膝にギュッと力を入れると力が入る筋肉の一つです。
手描きの矢印に注目してください。
2枚目は膝の進展(伸ばす動き)です。
両方とも、目立つ筋肉が同じ大腿直筋。
水色に見える大腿直筋の下の丸いのが膝蓋骨、いわゆる膝のお皿です。
そしてこの筋肉は両方の関節にまたがっていることがわかります。(二関節筋=2つの関節をまたぐ筋肉。多くの筋肉の中で数えるほどしかありません。)
膝にギュッと力を入れると、同時に股関節を押さえ込むことになります。
膝もロックされてしまうのでバレエの伸ばし方とは違います。
つまり、ギュッと力を入れると自らの関節の動きを悪くすることになるのです。
だからデベロッペやグラン・バットマン・ジュテなどで脚が上がらなくなります。
もちろん、タンデュやプリエの比較的小さな動きも本来の動きとは違ったものになります。
「力を入れないと動けなくて無理!」という人は基礎筋力がなさすぎです。
日常の動きでも筋肉に大きな負担になっているのでは?
だから筋トレが必要なのです。
バレエで筋力が10必要なのに、筋力が9しかなかったら力みやすくなります。
11あれば動くことで自然に筋肉が働いてくれます。
関節を痛めようが、バランスの悪い筋肉になろうが、なんとなくバレエのレッスンに参加していたら楽しいからOK!という人はそのままで良いと思います。
上達したい、きちんと身につけたい、きれいになりたい、と思っている人はバレエのレッスンでも、レッスン以外のところでも努力が必要になります。