年間契約をしてしまったもんだから、行かねばならんフィットネスジム。



子どもたちの夏休みが始まるまであと1ヶ月。
あと1ヶ月頑張ったとて、その後は2ヶ月行けなくなる。


行けるうちに行かねばと、時間がある限り行くようにしている。


プールの底に足がつかないと分かればウォーキングは出来ない。
ひたすらビート板につかまって泳いでいるんだか漂流しているんだかを繰り返す。


プールの端っこまで来たのでターンをしようとふよふよと泳いでいると、
今しがたまで同じく自由に泳いでいたおばあちゃんスイマーたちが集まって来た。


「あ、これはまさか。」


と時計を見ると14時であった。


「あかん。
早くここから離れなければ…。」


と足を動かしたその時、


「はいー!
アクアビクスのクラス始めるでー!」


と先生が入ってきた。


そうなのだ。
このジムは時間ごとに色んな無料のクラスを開いており、14時はアクアビクスのクラスであった。



「おや。
今日は初めての人おるやん。」


とターンをしようと一番前列にいたひよこよさんに先生が言った。



もう逃げられない。

ふよふよと自由に漂流する計画はまさに流された。



おばあちゃん9人とビート板にしがみついた挙動不審のアジア人1人にて、アクアビクスクラス開講である。


先生は音楽を爆音で流し、開始2秒でテンションをぶち上げてきた。


「あ、 はい!あ、はい!
足上げてー…下がる!下がる!下がる!
お嬢ちゃん笑顔やで!
戻る!戻る!戻る!」



お嬢ちゃんは100%ひよこよさんのことであろう。


もうやるしかない。
足を上げ、笑ゥせぇるすまんくらいに口角も上げる。


「あなたたちは蝶やで!
水面をたたいて羽ばたくんや!
羽ばたくためには足を漕いで!
ひたすら走るように早く動かすんや!
そのまま10秒カウントするでー…
はい10!9!…」


と残りカウント2秒になると先生は電話をするふりをしたり、口にチャックをして話せないというパントマイム的な小芝居をひたすら重ねてくる。


実際の写真ではないが、こんな感じのクラスの一番前にひよこよさんがいると想像してほしい。




松岡修造氏並みの熱血指導は1時間続き、

「みんな!お疲れやで!」

と爽やかに言い残して先生は去っていった。


最大に上げた口角と足…翌日どちらが筋肉痛になるのか、見ものである。


よろしくおねしゃす。





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更衣室に戻ると先生が素っ裸でベンチに寝てました。
タオル巻けい!

これからもよろしくおねしゃす。**