「ひよこよ。
俺は今、アドミララ通りを歩いている。」
おじさん(ウラジオストク在住、元運転手。49歳)から連絡が来た。
ウラジオ時間13時、モスクワ時間6時である。
写真の海岸で、ひよこよさんの子どもたちは数え切れないほど遊んだ。
観光客が多いにも関わらず、夏は店のチラシ1枚で乳を隠して日向ぼっこをするおばあちゃんでいっぱいの海岸である。
「さぁ、遊園地だ。」
と送ってきた写真に目をやったのは、遊園地隣のロイヤルバーガー。
この『誰やねん』の話に出てきたロイヤルバーガーである。
「懐かしいな。
ロイヤルバーガー、次男とよく行ったな。」
と思わずおじさんへ送ると、
おじさんは入店した。
「ひよこよはいつも何を食べていたんだ。」
の聞いてくるおじさんに、
「魚のハンバーガーをいつも次男と食べててん。
フライが揚げたてなんよ。」
と答えた。
…ここで話は逸れるが、おじさんはハンバーガーというものを食べない。
ハンバーガーというものを信頼していないのである。
「ハンバーガーチェーン店のミンチ肉は何を混ぜ込んでいるのか分からんからな。
ナゲットなんぞ!!もってのほか!!」
と言われたことがある。
ちなみにおじさんは薬も信用していない。
おじさんが風邪を引いた時は、いつまで経ってもハーブ頼りであった。
ハーブを丸めて鼻に突っ込んで運転していたこともある。
なのでいつも風邪は長引いていた。
おじさんは自然を愛するナチュラリストなのである。
そんなおじさんなので、ひよこよさんが
「バーガーキングに行きたい。」
と言っても最後まで一度も連れて行ってはくれなかった。
おじさんにとってはチェーン店のハンバーガーなんぞは悪そのものである。
そして
「ハンバーガーが食べたいのなら、これにしとけ。」
と渡されたのはいつも、よく分からない店の、よく分からないシーザーラップサンドであった。
全然違う。
ハンバーガーとよく分からない店の冷たい胸肉のラップサンドでは全然違う。
そんなある日、先ほどのロイヤルバーガーでフィッシュバーガーをテイクアウトした。
バッグの中にフィッシュバーガーをぎゅうぎゅうに押し込んだが、ファストフード特有の匂いが車の中に充満してしまった。
「ひよこよ、バーガー店ではいつも何を食べてるんだ。」
その時も聞かれ、答えたのはフィッシュバーガーであった。
「魚…があるのか!
ハンバーガーに…魚が!!」
とくそ驚いた様子のおじさんは、フィッシュバーガーが170ルーブル(約320円)と知ると
「…いつか食べてみたいものだな。」
とだけ呟いた。
ひよこよさんは後々、何故その時バッグにあったフィッシュバーガーをおじさんにあげなかったのかと悔やんだ。
しかし、めしょめしょに潰されたフィッシュバーガーはとても人に渡せるような代物ではなかったのだ。
話は戻るがそんなわけで、ナチュラリストのおじさんがチェーンのバーガー店に入店することは驚くべきことなのである。
そして、
「…ひよこよ、俺は注文した。
フィッシュバーガーをな!」
と意気揚々のおじさんから写真が届いた。
「美味しい?」
と聞くと、
「しかし今は食べない。
今は仕事中だからな。」
と返ってきた。
「自分、仕事中て…でも熱々のバーガー差し置いてソフトクリーム楽しんどるやん…。」
そう思ったがそこは堪えた。
「めっちゃうまい。
魚はタラなんだな!」
と大興奮よろしくの、おじさん。
その後も
「美味いなぁ。
フィッシュバーガーって美味いなぁ。」
と送られてきた。
49歳、人生初のフィッシュバーガー。
おじさんは毎日を楽しんでいる。
よろしくおねしゃす。
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げにげにーに聞いたら、
「ヤルスという名前の核ミサイルですヨ。
アメリカまで飛ばせマス。」
と言われました。
なんてこった…。
これからもよろしくおねしゃす。**