「ヒヨコヨサン、アタラシイ センセイ ガ キマシタ。
イッショ 二 イキマショウ。」


歯医者待合室で40分放置されていたのち、Nがやってきた。


診察室に入ると、ぽっちゃりよろしくのぽよよん女医がゴム手袋をパチンと鳴らして待機していた。



診察台に寝ているひよこよさんの歯をのぞくぽよよん女医。


それと先ほど撮影したレントゲンを見比べながらNに早口で長々と話す。


しばらくぽよよん女医とNのラリーが続き、Nがうなずくと、ひよこよさんに向かって


「アノ…センセイ ハ コウ イッテイマス。
『頑張る』ト。」


と言った。



頑張る。



長々と続いたラリーの通訳が『頑張る。』



「え?ほんまに?」

と思わずNに聞き返すと、

「ウン。」

と軽めに返ってきた。



その後ぽよよん女医が1枚の紙を見せてきた。

とある数字が書いてある。


「コレ ハ、コンカイ ノ チリョウ デ カカル イチバン タカイ キンガク デス。
チリョウ シダイ デ コレヨリ ヤスクナル コト モ アリマス。
コレ イジョウ ハ カカル コト ハ ナイ デスネ。」


なるほど。
治療前に最大値の治療費を提示して、治療するか否かを患者が決めてもいいシステムということか。


ほう…と思いながら金額を見ると、



12万ルーブル。


日本円で20万。
虫歯一本20万。



「めっちゃ高いやんけ!」

と先生に言うと、Nが答えた。


「センセイ、『頑張る』イッテ マスネ。
ソウナンデス、タカイ デス。
デモ コレ ハ サイダイ ノ チリョウヒ。
コレヨリ ヤスイ、タクサン カンガエ ラレマスネ。
デモ、 アノ…『頑張る』イッテ マス。
トニカク、『頑張る』。」



『頑張る』の一点張り。


しかしもうひよこよさんには選択肢はない。
いや、あるといえばあるのだろうが、また歯医者を探し、予約して診察し直すことはここロシアでは大変な労力である。


腹をくくるしかない。



「…頑張ってください。」



「ワカリマシタ。ガンバリマスネ。

キョウ ハ カクニン ダケ ナノデ、チリョウ ハ シマセン。
10 カ ゴ 二、ヨヤク ヲ イレマス。
ツギ ハ 2 ジカン イジョウ カカリマス。」



歯が欠けて虫歯を確認しても今日は治療なし。
次回から治療開始。


先生に心から頑張ってほしい。



よろしくおねしゃす。



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春ですな。

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