沖縄本島の北の端、CP2辺戸岬(へどみさき/163キロ地点/24時間制限)到着が23時間19分。
空は曇り、ここを越えられるかが一つの勝負所で、多くの選手達もホッとした表情でうどんを食べている。
辺戸岬(163キロ地点)を通過したのは34人、すでに半分の34人はリタイアしている。(出走68名)
ここに来るまでの第1の問題である、雨濡れによる足裏の擦れ・股ズレ・尻ズレでは大いに悩まされた。
しかしこれは想定内で、足裏の擦れマメ問題は昨年のトルデジアンでテーピングを学んでおり
スタート前に予防テーピングをした効果が大きく、CP2では少し気になる程度。
< レース後濡れてふやけた足裏。痛みはあるがテーピングでなんとかマメは予防できた。>
反面、股ズレ・尻ズレはとても痛くて頻繁にハンドクリームを塗るも、すぐに雨で流されてしまう。
過去、サハラマラソン(230㎞/7日間)・トルデジアン(トレイル330㎞/150時間)等でも股ズレ・尻ズレで
悩まされたので、胸ポケットにハンドクリームを入れ、歩きながら頻繁に塗っていた。
ところが、沁みて痛い!これは今までない事で、さらに玉ズレは初めての想定外で大いに沁みて痛い。
後で聞いたら、オロナイン軟膏(チューブ)が良いというので、次回使ってみる予定。
それから、「前半」の報告で誤りがあったので訂正します。
132キロ地点『道の駅おおぎみ』(スタートから18時間51分/到着は朝7時前)で「まだ眠くない。」と書いたが、カレーライスを食べた後20分程寝ている事を思い出した。
<CP2辺戸岬/163キロ地点・イケダさん(中央)・マスダさん(右側)>
さて、CP2を発とうとするとマスダさんがいない、建物内に居なく屋外を見るとNHKのインタビュー中。
離れて終わるのを待っていると、マスダさんがこちらを指差すので、我々も呼ばれてインタビュー受ける。
「ここまで、師匠のイケダさんが我々を連れて来てくれた。」と言うと、イケダさんが質問攻めに合う。
今回の『沖サバ』は、NHK番組『ドキュメント72時間』の取材を受けている。(放送日はまだ不明)
(地上波/金曜日・夜10:50~11:19/再放送は翌日・土曜日・午前11:24~11:54)
後でマスダさんにインタビューされた理由を聞くと、仰向けで泣いていたら見つかってしまった、との事。
「前回チャレンジで辺戸岬まで来られなかったので、ここまで来られて感無量で泣いてた。」という話し。
さらに「足首の痛みが強いので、ここでリタイアを迷っている。」と言うのを、説得して3人で歩きだす。
強く痛むらしく、クツ下を脱いで診せてもらうと前脛骨筋腱(足首を上げる腱)の痛みなので、足首関節周辺を含めてバランスを合わせるも、すでに24時間酷使しているため変化は無く、ロキソニンを渡す。
11キロを2時間程進んで共同売店に到着、ドリンクとアイスを食べて、また20分程寝る。
店の軒下でイケダさん達3人が川の字で寝ていると、NHKが熱心に撮影していた。(私は離れて寝てた)
ハミガキを始めた女子選手も撮影されてインタビューが始まり、会社と家族のストレスを話していたが、その危ない内容は放送されて大丈夫なのだろうか?と選手みんなで心配した。
沖縄北部のヤンバルは正にジャングルで、夕方になると雨が降り出し、雨の強弱あるものの風は弱い。
アップダウンが激しく、一つの坂が長く、登りはずっと歩くため、なかなか前進しない。
夜間登りの雨の中歩いていると、車が止まってNHKのスタッフ3人が降りて来てインタビューが始まる。
体調はどうか?雨の中を進む気持ちは?のような内容にイケダさんが答えていたが、私の記憶は曖昧。
どうやら、みんなリタイアしたため、最後尾の数人になってしまったもよう。
『安波』(193キロ地点)到着が30時間15分(午後6:15)、暗い屋根の下に多くの選手が座っている。
過去の優勝者を含めて、かなりの選手がここでリタイアとの事、みんなサバサバした顔をしている。
おにぎりを食べ、ドリンクを補充して雨の登りを歩き出すが、我々はかなりドン尻になったもよう。
強い雨の登りでマスダさんの足首は強く痛むらしく「ゆっくり行く。」と言うのでここで別れる、残念。
この時、もう一人のメンバー・ミハラさんが加わっていたので、イケダさんと3人で進む。
登り坂が長く時間がかかるので、計算すると20㎞進むのに5時間近く掛かっている、これは遅い!
夜9時頃イケダさんから、私の歩き方がふら付いている、との指摘があり少し眠る事に決める。
雨を凌げる軒下を見つけて横になる、濡れた身体は寒いが目を閉じれば眠り、寒くて15分で目覚める。
寒さで震えながら走りだし、数キロ進んだ夜11時頃、エイド『東村サンライズ』(220キロ地点)に到着。
温かいうどんを頂き、ここでリタイアの寝ている選手を見ると、早く出発すべきなのに尻に根が生える。
この先『辺野古』(250キロ地点)までの30キロを、7時間で行かなければならない。
エイドのスタッフは「急げば行ける。」と言うが、我々は口にせずとも漠然と不可能だと感じる。
雨の中スタートするが、我々3人誰も走らない…、走らないままクダラナイ話しをしつつ2キロ程歩く。
道路を渡る大きなカニを見つけて笑い、道路脇のハブを見つけて大騒ぎ…
我々3人、誰かが「リタイアしよう。」と言うのを待っている。
< 初めて見るハブ。上に写る枝と似ており、以後落ちてる枝がハブに見えてしまって困った。 >
イケダさんが那覇のステーキ屋の話しを始めると、私が「ビールも飲もう。」と言ってみんなで笑う。
イケダさんのトドメのひと言、「店は朝5時までやってるから、今から行けばまだ間に合う!」
もう、頭の中はステーキとビールがグルグル回っている。
私が「リタイアする理由が必要だね。」と言うと、イケダさんが「誰かハブに噛まれたらできる。」と笑う。
誰もが自分の事ではないと思って笑い合う、みんな「リタイア」したいとわかる。
スタート前、主催者の沖山さんは「リタイアの時は、電話くれれば迎えに行く。」と仰っていた。
仕方ないので「迎えの車を呼ぼうか。」と私が言うと、……誰も反対しないので、電話をかける。
エイド・東村サンライズ(220キロ地点)から3㎞、元来た道を戻っていると、スタッフの車が来て乗りこむ。
東村サンライズで、那覇に戻るバスに乗り換えると、私の沖サバがここで終わった。
一応、223キロ/約36時間弱進んでリタイアしたが、正式にはチェックポイントの『安波』という事。
正式記録:『安波/あは』193キロ/30時間15分36秒リタイア
出走68名/完走5名/リタイア63名/完走率7%
リタイアする時は、肉体的限界になりヘロヘロの朦朧状態なのだろうと予想していたが、全くの予想外。
気持ちが切れる事で、フィジカル(肉体)が動かなくなってしまい、どうでもいいと思ってしまう。
レース歴32年で、昨年『彩の国トレイルレース』(160㎞/32時間制限)に続き、今回2度目のリタイア。
走力低下なのか、メンタルの弱さなのか、と考えると、これはメンタルの弱さに尽きると思う。
何とかしなければ…
【先週のトレーニング】
12/02(月):休 み
03(火):休 み
04(水):ラ ン・10,0㎞/1時間03分30
05(木):①ウエイトトレーニング ②バイク・スピニング60分
06(金):休 み
07(土):ラ ン・27,0㎞/2時間41分11
08(日):休 み
【腰痛・膝痛 さいたま市北区 ふく山接骨院、福山眞弘】