富士登山トレラン②・まさかの挫折と苦行/~おまけ~UTMBリベンジ⑤ | カッコイイおじいを目指すランBAKA院長のトレーニング診療日誌

カッコイイおじいを目指すランBAKA院長のトレーニング診療日誌

ウルトラランナー・トライアスリート院長の加齢と闘うドタバタ奮闘記

これが富士山の厳しさ、わずか3時間で冬と夏が入れ替わる。

初めて、自分の体調がこんなに崩れるとは…

 

7/14~15(土・日)、8月にUTMB参加予定のカミさんと2回目の富士山トレーニングに行きました。

今回は『御殿場ルート⇔須走ルート・山頂2往復ピストン/20時間走に挑戦』が目的。

 

7/14(土)午後8:20自宅を出発、午後10:50「御殿場口新五合目」に到着。

午後11:20スタート。 真っ暗な登山道を登り始めると、御来光目的の先行のハイカー達を抜きます。

この時はまだ体調は良く、2週間前の第1回富士登山の『高地順応』の効果を楽しみにしていました。

 

                      <富士山の火口>

 

 ※下記の距離は実際より短いと思います。

  私のGPSは水平距離の計測であり、斜面の長さを計測していないと思われます。

  それから時々タイムの計測も忘れて、遅れてボタンを押す事が度々。

 

① スタート → 六合目(2830m): 6,187㎞(合計6,187㎞)/2時間35分28秒 (合計2時間35分28秒)

スタート時の着衣は、半袖シャツ1枚と七分丈スパッツを膝上まで上げたカッコで寒くない状況。

 

② 六合目 → 新六合目    : 0,882㎞(合計7,069㎞)/        23分55秒 (合計2時間59分23秒)

とにかく六合目までが長く、うっかりすると下山道に迷い込んでしまうので常にキョロキョロして要注意。

下山道に迷い込むと大変、急なうえに砂がズルズル崩れて進めない。

今回は二往復の長丁場なのでペースは控えめ、カミさんのペースに合わせてムリしません。

 

③ 新六合目→八合目(3300m) : 1,138㎞(合計8,207㎞)/        51分45秒 (合計3時間51分09秒)

3000mを過ぎると脚が重くなり始め、目がチカチカし始めるも、まだ体調変化は感じない。

寒くなり始めて手がかじかむので、アームウォーマーとシンサレート手袋を着用。

脚部は七分丈のスパッツを引き下げて膝を隠し、足首のゲイターを引き上げて脚全部を覆う。

 

④ 八合目 → 山頂(3700m)  :  0,495㎞(合計8,702㎞)/         28分28秒 (合計4時間19分30秒)

目のチカチカが強くなるにつれ、側頭部の頭痛が始まり、次第に上腹部の辺りの気分が悪くなる。

八合目茶屋を出てすぐ、寒さに我慢できず引き返して建物の影に入り、先週買った長袖ミッドレイヤーと

薄手ウインドブレーカー(WB)とゴアテックスのズボンを履く。

 

登るにつれ頭痛と気分の悪さが強くなり、顔を上に向けると強い吐き気、生あくびが頻繁に出る。

頭が異常にボーっとしており、薄い空気のせいか睡眠不足のせいか判断できない状況。

 

                  <山中湖と富士演習場がうっすらと>

 

⑤ 山頂滞在と移動       : 0,905㎞(合計9,607㎞)/         40分51秒 (合計5時間08分29秒)

正に御来光の午前4時過ぎ、頂上に着くと頭痛と気分悪さは最高となり、とてもこのまま下山できない。

    横になりたい…

風の当たらない石塁の影に入って横になると、カミさんから持ってる衣類を全部着るように指示される。

正にその通り。このまま寝たら5分で氷っちゃうのはわかり切ってるのに早く寝たい、が先に立つ。

そんな事も気付かなくなってるとショックを受け、指示通りゴアのウインドブレーカー上着を着る。

衣類はこれが最後、それでも寝てると寒さでガタガタ震え始めるが動けず横になっているだけ。

 

眠いのに寒さで眠れず、気付くとカミさんが私の体をエマージェンシーシートでくるもうとしている。

少し体をずらしてシートにくるまれ、また眠ろうとするが震えが止まらない。

ほとんど眠れず仕方なく起き上がって時計を見ると、それでも少しは寝たのか30分以上経っている。

 

昨日の出発前の睡眠は、立て込んだ事や自由診療で忙しかったため1時間の仮眠のみ。

この睡眠不足は大きく影響したと実感、富士山がそんなに甘くない事を痛感しました。

 

  <須走下山ルートと吉田下山ルートの間違いを注意喚起する看板。 間違えると大変な事に…>

 

でこれからどうするか、『御殿場ルート』を降りて中止するか『須走ルート』を降りて予定通り登り返すか。

カミさんと相談した結果、『須走ルート』を降りてそこで考えよう、という結論。

登り返さない時は、ロードを走って「御殿場口新五合目・駐車場」に戻る『作戦B案』で合意。

 

⑥ 山頂 → 須走ルート大砂走 : 7,325㎞(合計16,932㎞)/4時間08分54秒 (合計9時間17分24秒)

須走ルートは降りやすく、ガレた御殿場ルートとまったく違う大粒の砂で、転倒の危険がほとんどない。

わずか数キロしか離れていない同じ山で、こんなにも路面が違うものなのか、不思議。

 

しかしルートは楽でも、相変わらず頭痛と悪寒は強く、登りの途中から水も補給食も摂れてない状況。

カミさんから「一口づつ舐めるように水を飲んだ方がいい」と指示を受け、飲み始める。

 

この言葉は、昨年サハラマラソンに参加する前、サハラ経験者「ボス・平井」から受けたアドバイス。

わかっていても、正しい行動を実行できなくなるのが体調不良の特徴。

極限状態で、これを自分自身で判断・行動できないと命にかかわる、まだまだ未熟を痛感する。

 

八合目の茶屋を過ぎると暑くなり、『ゴアのWB・薄手WB・ゴアのズボン・手袋・ゲイター・長袖』全部脱ぐ。

1時間前の真冬と、まったく違う初夏の陽気になっており、忙しく変わる山の気候変化に驚愕。

 

暑いのに面倒くさいと着続けると発汗で脱水が進み、胃での水分吸収が間に合わず水を拒否し始める。

飲むと吐くが始まると食べても吐く、食べないと動けなくなる、これがリタイアの一番多いの理由。

 

こんな体調不良の経験は過去になく、これまでは「走り続けてりゃ寒さは感じない」が前提。

気温5度で「止まれば5分で寒くなる」は知っていても、「自分が動けなくなる事はない」と思ってました。

装備の重要性と「自分は絶対大丈夫」はない事を肝に銘じました。

 

                < 27,5㎞の過酷で美しいロードの始まり >

 

下りの大砂走は前回と違い、頭痛と安全のため大粒の砂のルートをゆ~っくり、ゆ~っくり下ります。

標高が下がるにつれて、腹部の吐き気がなくなり、オレンジジュースを飲みたくなる。

 

『五合目須走口のお茶屋』到着時が午前7時半、ジュース2本とソフトクリームで今後のルートを相談。

悪寒は消え頭痛もかなり減って食欲も戻ったため、典型的な高山病と判断するも、登れば再発の予感。

体調不良のまま、御殿場ルートのガレ場を下るのは恐怖。「正直もう登りたくない」で合意。

 

「須走口」から一般道で「御殿場口」まで戻るのに何キロあるのか、スマホで調べると… 

    二十七点五キロメートル    ん~、相手にとって不足はない  …けど長い(◎_◎;)

まあ、降りちゃったんだから仕方ない、途中からの長い登りは全部歩くはず、一体何時間かかるのか?

山を登って降りれば8~9時間、ロードはそんなには掛からないはず、という訳で午前8時過ぎスタート。

 

⑦ 御殿場口へ戻るロード走     : 27,595㎞(44,527㎞)/5時間05分34秒 (合計14時間22分58秒)

最後の登り約4キロは、16分/㎞、富士登山に来てロード27キロ走るとは思いませんでした。

 

            < 『幕岩』まで途中の双子山の谷を抜けて四辻へ >

 

⑧ 御殿場口の駐車場で休憩       :  0,020㎞(44,529)  /     16分36秒 (合計14間39分35秒)

午後1時半駐車場に到着、休憩しながらまた相談「20時間には足りないね、じゃもう少し行こうか。」

という訳で、御殿場口から富士宮ルートへ横方向に進む、『幕岩』ルートを走る事にします。

双子山の谷を抜けて四辻までが登り、そこから緩い下りが始まるも、疲労と転倒予防のためゆっくり。

 

 

四辻を左に曲がって下って行くと、次第に木が現れて美しい樹林帯が出現してトレイルになります。

少し行くと幕岩に到着。 幕岩は溶岩の積み重なりで、富士山の噴火の歴史がわかるそうです。

 

 

⑨ 双子山~幕岩トレイル~ゴール : 5,571㎞(50,100㎞/   1時間59分56秒 (合計16時間39分32秒)

幕岩の先からは美しいトレイルが広がり、正にツラいトレーニングのご褒美。

多少のアップダウンはあるものの、ほとんどフラットな美しい森が何と1時間続くんです。

この森だけ行って戻れば、ゆっくり走ったなら2時間楽しめる。

ランナーを、初めてのトレイル経験で連れて行けば、100%トレランが好きになる素晴らしいコース。

 

     < 幕岩~御殿場口まで、こんな森が片道ゆっくり1時間続く。絶対オススメ! >

 

という訳で、富士登山17㎞→ロード27,5㎞→幕岩トレイル5,5㎞ で合計50,1㎞/16時間40分。

富士登山に来て、まさか50キロも走るとは思いませんでした。

 

帰りはラーメン食べて、『御殿場温泉会館』で汗を流して午後10時まで仮眠、渋滞避けて午前1時帰宅。

寒さの危険や体調不良・装備の大切さを学んだ、走り応えのある練習でした。

この疲労が抜けるのにたぶん10日から2週間…   ハ~(*´Д`)

 

〖先週のトレーニング〗

07/09(月):休 み

  10(火):ウエイトトレーニング

  11(水):休 み 

  12(木):バイク:スピニング60分

  13(金):ラ ン:10,0㎞/1時間04分

  14(土): [富士登山(御殿場ルート) + ロード28㎞ + 幕岩トレイル]

  15(日):   〻     〻     〻  合計50,1㎞/16時間40分

 

~ おまけ ~
『ジャスト50小チャイおばさんのUTMBリベンジ⑤』 ~UTMBへの道再び2018~ 

 

※UTMB:『ウルトラトレイル・ド・モンブラン』
欧州アルプス最高峰のモンブラン(4810m)とその山郡の周囲170kmを
制限時間46時間30分で走破する、「世界最高」といわれるトレイル・ランニング・レースです。

<プロフィール>
○ふく山接骨院・事務長 50歳
○家族 : 夫(院長)・子供二人(25歳・22歳)・モルモット
○フルマラソン  : 3時間48分
/ 100Kウルトラ: 12時間35分(チャレンジ富士五湖)

/  2016UTMB  : リタイヤ(ボナッティ小屋)
/  2018UTMF  : 44時間01分

 

 

今日は富士山ダブル(2往復)の練習をする、

はずだった。

 

御殿場新五合目に車置いて、山頂行って、須走下りてまた同じルートで帰ってくるコース。

夜11時頃から登り始める。

星きれ~い★ 天の川も見える~

UTMBの時は曇ってて星見られなかったんだよねー。

 

えっちら、おっちら登って、8合目位で寒くなったので、防寒着着る。

厚手の手袋も。やっぱり富士山だわ。

森の中と違って、直接風が当たるから、すっごく寒く感じる。

 

夜が明けた頃山頂へ。

すると、主人が、「気持ち悪くて、頭痛くて、眠いから寝る。」と。

え?高山病?

夫:「とにかく寝る。」と、具合悪そう。

寝るのはいいんだけど、

何もこんな一番寒い場所、一番寒い時間に寝なくても・・・(´・ω・`)

でも、無理に下りてケガするのも怖いので、建物の陰で休む。

じっとしてると寒いけど、持ってきたもの全部着たら、取り合えず我慢できる寒さ。

レースもこの装備で大丈夫そう。

 

主人はというと、ガタガタ震えながら寝てる。

エマージェンシーシートかけてあげたけど、風でパタパタしちゃう。

唇真っ青だし。ちょっとまずいんじゃない?

低体温症になったら大変よ。

レスキュー頼んで降ろしてもらうの?

ヘリで搬送?

・・・やだな (-_-)・・・

だいたい気持ち悪いだけなんだから、頑張れば歩けるわよ。

低体温症になるよりまし。

このまま寝ててもよくなるとも思えない。

もし高山病なら下りないと治んないし。

 

というわけで起こす。

私:「下りるよ。御殿場口に戻ろう。」

夫:「う、う~ん。少し良くなったから、須走に行く。」

え?まじか?

でも私の言うことなんか聞きそうもないので進むことに。

何とか須走5合目のお茶屋へたどり着く。

主人はというと、随分良くなったけど、山頂へは登れないと。

だから言ったじゃん!

 

という訳で、こけももソフト食べながら作戦会議。

ロードず~っと下って、ず~っと登れば御殿場口に着く。

ま、何とかなるでしょ。

そして出発。

何とかなったけど、・・・

富士山往復した後の、ロード27kはつらかった・・・(+_+)

 

やっとの思いで、車のある御殿場口へ到着。

しかし、20時間の練習をしたかったし、主人の具合いも良くなったので、

二子山へ行くことに。

でもゆっくり行っても17時間位にしかならない。

すると、戦意喪失の主人が「四捨五入したら20時間だよ。」

私:「あ、そーだね♪」と、意見が一致。

根性なしの夫婦だわ(^^;

最後キレイなトレイルをぬけてゴール!

2往復はできなかったけど、それなりにキツイ練習ができたから、ま、いっか。

あ、途中で全ルート4往復してる二人組と会いました。 スゴイ!

 

 

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