「ショート……」
テロップから推察するに本戦18番のバーディパットか。
最終組2つ前でプレーする菊地絵理香選手は、この時点で-10、ひとつ後ろの組の永峰咲希が-11で首位にいた。
決めれば-11、永峰を捉えてクラブハウスリーダーでホールアウトというシチュエーション。
しかも結果、永峰が18番3パットボギーを打ったため、これが決まっていれば絵理香選手の逆転優勝のはずだった。
-10で並んだ2人のプレーオフは、2ホール目で決着。永峰が初優勝を果たし、そして絵理香選手のプレーオフ戦績は0勝4敗となった。
テレビの画面をスマホで撮影した冒頭の画像であるが、「ガーン!」という音が聞こえてきそうな表情だ。
この年、2018年は結局未勝利に終わる。
「私は勝負強くないから」
いつしかそんな言葉を自虐的に口にするようになっていた。
この2週前のヤマハ、3週後のほけんの窓口も同じような形。勝利が絵理香選手の懐に転がり込む直前に、あらぬ方向に消えてゆく。
終いにはアン・ソンジュにこんなことを言われる。
「あなた、もっと勝負強くなりなさい」
いやいや、余計なお世話である。
未来の私たちは知っている。
次のプレーオフのときに、送迎のカートに1番乗りさえすれば、絵理香選手がそれを成し遂げることを。
プレーオフで初勝利を果たすまで、あと5年と128日。
追記:本戦18番のパットがバーディー“チャンス”だったか記憶があいまいです。割と距離があったんでしたっけ?