激動の時代を過ごす島民たちの物語。

舞台は《残月島

本土では無いところで

まだ考えが古かったり

島民同士の繋がりが複雑だったり。


異国の血を許せなかったり、

誰かの言葉に任せ切りだったり。


生まれ故にヒロインであるめぐみちゃんも

だいぶ自己肯定感が低くて、

読み始めからこれは絶対好きだなぁと思った。TAKUYOだし...笑






⚠ネタバレ注意⚠






★神楽坂響

ヒロインよりも2回り上の(らしい)紅霞青年団の団長。1年前残月島で起きた震災の対処を公務員が行わない中、神楽坂さんが進んで行ったことで島民に英雄扱いをされている。過去の事故で全身に火傷を負っており、余命はもう永くはない。その事故の際に、妹と親友の2人を亡くしている。本名 : 音羽律成(親友の苗字と妹の名前から取った偽名を使用している)

火事に何かと縁がある神楽坂さんは個別ルートも火事がメイン。大切な2人を失った経験から罪滅ぼしの為に日々を過ごす。自分のことはあまり語らず、無理もする。元海軍のため、色んなところにツテがあり住民を混乱させる深海の企みにいち早く気づくのも神楽坂さん。別ルート見てる限りこの原因不明の火事は深海の差し金だと思う。自分自身長生きするつもりがないし、できないから、なかなかめぐみちゃんとの距離の掴み方が難しい。何かとキーになる神楽坂さんずっと優しい。



★望月理也

実は双方思っていたより歳下と歳上の年齢が逆転の関係になる望月さんとめぐみちゃん。望月さんは生まれのこともあるし、一生独り身を貫くつもりではいるものの花柳街で生まれたこともあり女性への気配りがとにかく本物深海の過去については望月さんルートで触れることで、花柳街に身を置く望月さんとの対比にもなる。

愛があやふやな2人が共鳴することで依存に繋がって行くのも望月さんルートの見どころ。大切だけどそれを伝える表現が変わるだけで依存にも死にも繋がっていく。受け入れることが良しみたいな感覚があるけれど、受け入れるとめぐみちゃんの気持ちが完結して消える選択をするというのが少し新しかったし依存ENDの望月さん(名前の物理)だからこそできる、新月になりたいめぐみちゃんの図は月すらも対比になるのが凄い。

今作のツッコミ要因。しっかりしてるようで茶目っ気多めの神楽坂さんとのコンビが最高。



★猪口渉

軍人。島を守る立場にあるし、島民みんなが上手く暮らしていけるように気を張っている。腹違いの弟ノアくんは異国の血が混ざっていることで周りからよく思われていない。元々地位の高かった猪口家ではあるものの、巌さん亡き今 異国の母が当主になっていることで村八分にもなっている。渉 当人は前妻の子供であり異国の血が流れていないこと、本土で軍人となって帰ってきているため免除されている。問題が起きる島の中で猪口家と関わることで、めぐみちゃんも村八分となる。猪口家は元々本土とのやり取りもあるけれど、大井川家は村八分になった瞬間大打撃の為、深海の思惑を断ち切るために奔走する。色々気づいてるようであんまり見えていないのが猪口さん。思ってるよりほんわかしてる。



★榛名望

旅行者と見せかけて、町を揺るがす元凶である深海のコンサルティング会社で働く青年。めぐみちゃんに負けず劣らず自己肯定感が低い。それは彼の幼少期に起因するものなんだけれど、めぐみちゃんとの組み合わせは個人的にしっくりくる。2人が揃って上手く行けば成功の道へ行けるものの、ずっと付きまとう不安定な精神状態。そして、性格から来る自己犠牲。めぐみちゃんも望くんもどちらも相手のためなら死ねるを通そうとするところがこのルートの見所。望くんへの立ち回りでめぐみちゃんが他に目を向けられるかでENDが変わってくる。依存ENDとBADENDは秀逸だと思う。お互いに沈丁花の香を送り合うけれど、毒にも薬にもなるところが本当にぴったりで更に2人ともが毒でもあり薬でもあるところが好き。出会った時から望くんはめぐみちゃんの価値観にずっと惹かれてる。



★ノーマル(大井川護)

これまでも何かと手を焼いてくれているお兄ちゃん。笑わなくなっためぐみちゃんを笑わせるためにずっと過ごしてくれていたし、ずっと見守ってくれている。蛍さんが亡くなって悲しいのは同じはずなのにどんなときも明るくて精神的なサポートをしてくれる大事な兄とのエピソード。