オトメイトのオメガバースプロジェクト。
どんな感じになるかと思いきや、しっかり全員がバース性に振り回されていて過去含めての現在の悩みがとんでもなくて良かった。
それぞれのバース性にそれぞれの苦悩があったし、過去のエグさにジョーさん監修を感じた。
※ネタバレ注意※
★棗 陽凪
αだけど普通の男の子。
紗世ちゃんが触れるたびに過剰な反応をみせる陽凪くん。
過去に何かあったな?というのは明確だけれどそれがあまりにも壮絶。
NOBSの研究員である父親が研究成果に悩んでいるときに陽凪くんのバース性αが判明。
仕事に明け暮れる父親の影響で家族が壊れ始めていたため、父は息子を研究対象として、息子である陽凪くんは自分が我慢すればまた元通りの家族に戻れるかもしれないという期待の元、αとΩの研究に駆り出されることになる。
ヒートが起こす発情により望まない行為を繰り返した末、陽凪くんの心が壊れてしまい女性に触りたくない、という今の現状に陥る。
この感覚が紗世ちゃんとの関係性を拗らせる原因にもなっていくし、陽凪くん自身の自己犠牲な性格も相まってどツボにハマる。
いつだって元気な陽凪くんだけど、αとして平凡過ぎることで友達がいなかったりで父親の事件以降αとしてふさわしくなる努力をしているの本当に頑張ってここまで来たんだなって感じがする。
父から離れるための引っ越しだったとしても、彼にとって変化が必要だったのも事実だと思う。
★瀬尾 叶多
ガッツリお家騒動の叶多ルート。
恐らく誰も悪くなくて、叶多くんが零す“バース性なんて…”がキーワード。
瀬尾家が大きいことと、αの家系であることが関係しているし、祖父母、父母の代でやれることはやっているというのがポイント。
α以外を…と反旗を翻した先で起きた、家が傾く騒動に対応し、過労死した祖父。
その想いを組んで厳しく瀬尾家を守り続ける祖母。
そんな祖父母を見ていたからこそ、複雑な関係に落ち着いた父母たち。
そんな家系だからこそ、紗世ちゃんとの関係に踏み込めないのが叶多くん。
家のしきたりの複雑さを熟知していて、それでも離れられないのは全員の今を見ているとちょっとわかる。
傷つけないために身を引こうとするのもわかるし、一緒に乗り越えたいのもわかる。
我慢して生きてきた一族を、自分のわがままで変えることは裏切りなんじゃないかって思考がかなり邪魔をしている。
高校生の時から叶多くんと紗世ちゃんは両想いだっただけに、今回のルートにおいてはバース性がある種いい方向に働いている。
新しい瀬尾家の在り方を作るきっかけに叶多くんと紗世ちゃんがなれるといいな。
★日下部 恭也
女遊びの酷い一人称【僕】は寂しがり屋と言うか、過去に何らかの原因があるって相場が決まっていると思っているのだけれど。
例に漏れず、恭也さんもその一人。
αである父が母子をおいていなくなってから狂ってしまった母親と過ごしていたことで“番を作る”ということに酷く否定的。
そもそも、両親が家族関係ではないことが母親の不安定さを物語っている。
恭也さん自身も母親と同じように“好き”の閾値が低く、嫌いじゃなければ好きの範疇になる。
誰に対しても発言しているからこそ、誰か一人を定めることもまして、Ωと番になってその相手が自分以外の人と行為に及べなくなることにも怯えている。
そんな心の状態だからヒートの影響をほとんど受けない。
恭也さんが飄々と何事もこなしていく中で紗世ちゃんが変化を与えるわけだけれど、恐らく来るもの拒まず去る者追わずのスタイルのので真っ直ぐな気持ちをぶつけてくれているのは紗世ちゃんだけ。
この手の男が急に可愛くなっちゃうのはいつだって可愛い。
★露木 理都
血の繋がっていない姉弟であり、βとΩの関係性である何かと枷の多いルート。
瑛さんが大学に来ていた辺りで“もしかしてそれで解決する?”の雰囲気を醸し出しつつ、一旦は理都くんがその場を離れることで真相は闇。
元々、理都くんが紗世ちゃんが家を出るタイミングで告白しかけていることも、彼女が地元から居なくなったあとの態度からしても相まってずっと紗世ちゃんを好きなことがひたすらに大事な後半戦。
紗世ちゃんがヒートの時に理都くんへの気持ちを自覚してからのスピード感といったら凄まじくて、その行動力は紗世ちゃんが理都くんの想いを受け取り続けた結果だと思っている。
理都くんの本当の両親も最悪で、家族というものに憧れ続けた彼にとって望まない存在過ぎる。
この件がきっかけで、紗世ちゃんを姉と呼ぶことになるし、一生家族でいるという言葉に心底救われている。
そんな中自覚した紗世ちゃんへの恋愛感情なわけでその想いが大き過ぎたことにより、一度は関係をもったまま別のαと番関係だけを結ぶ道を選ぶけれど理都くんのバース転換により全てが丸く収まってしまう。
自ルートはαにバース転換が起きるけれど、他ルート誰よりも近くにいるのにβ故に苦しそうなのが本当に辛い。
瑛さんに強く当たるのもそのせいなのかもしれない。
★山科 瑛
NOBSの研究員であり、今回紗世ちゃんの薬の開発を担当する一人。
稀有な状況でΩとなった紗世ちゃんに協力してもらい、番なしでもΩが死ななくていい薬の開発をしている。
幼い頃から秀才であり、周囲から浮いていた存在で今も思ったことは全部言っちゃう紹介通りのノンデリ青年。
そんな性格故に幼い頃は友人が少なく、遊んだ記憶は10年前の夏の数日間。
恐らくこれが運命で、その友人こそ紗世ちゃん。
研究以外に興味がない瑛さんが心を開くことにはなるけれど瑛さんはアンノウンということで番にはなれない。
それでも研究者故に、新薬開発という形で関係を続けられるのが瑛さんルート。
ずーっとマイペースだったな。
このルート、犯罪色が唯一混ざるルートでBADも他と毛色が違う。
Ωと寿命の関係性をなんとなく触れてきてはいたけれど、自分の意思を貫く結果、残される側がどうなるかを身をもって実感するルート。
