スペードの国のアリス後半戦。
今回は黒の領土と駅。
一旦、白の領土または帽子屋領を選んだアリスが過去の記憶を取り戻すため、催しが落ち着いたタイミングで黒の領土または駅+ジョーカーの元に移住する。
白の領土が2人とも初対面だったことを鑑みると、今回はハンニバルのみスペードの国で出会っている
ほぼ古参組。
※Whiteと一緒でアリスシリーズ未履修のままスペアリ先に進めています。
⚠ネタバレ注意⚠
★ボリス=エレイ (チェシャ猫)
ハートの国から一緒のチェシャ猫。元々遊園地に滞在していたことを考えると、ここでボリスと一緒に遊園地に足を運ぶの感慨深いだろうなぁと思う。ディーとダムと仲良しで価値観も似てるけれど、気ままに見せたいものを見せ続ける2人と比較してアリスが嫌なことは話さないと決めているボリスは大人に見える。この辺りの気遣いはハートの国でのアリスとの関係性の賜物。猫特有のじゃれ方というか、彼なりの愛情表現もあるしその辺は猫。扉と扉を繋げる能力があるからどこでも行き来可能。空間の歪みを直すのが今回の駅での仕事。気づいたら手の内で最大限の好意を向けられているなぁというのがボリスルート。完璧でありたかったアリスに向けて、“完璧じゃない”アリスが良いって言うのはボリスだけ。流されるのもある種いいんじゃない?って考えもボリスらしくて好き。
自由気ままな彼の役割踏まえて彼らしい。
★グレイ=リングマーク (トカゲ)
今作1番の大人。行動も精神面もとにかく落ち着いていて、そりゃみんな口を揃えて“トカゲには敵わない”って言う。元殺し屋であることで、周りからは嘘をつかれている、の圧がかかるけれどそれはそれ。アリスの前では紳士。そんなグレイが自分の好意のためにアリスに嘘を付いて自分の目の届く範囲で記憶を取り戻そうとさせるところが好き。記憶を取り戻すとなったら1番の適任(ナイトメア)がすぐ傍にいるにも関わらず、とにかく自分の近くで、自分がアリスと長く時間を過ごせるように動いてしまうグレイ。グレイルートで前作未プレイ組はちょっとだけクローバーとダイヤの国の生活が垣間見える。Whiteの時にブラッドが言っていた、『俺では無い』もここで何となく形が見えてくる。Good endでもナイトメアが同じであって同じでない自分について話してくれるし、グレイの発言を通してだんだん見えてくるアリスシリーズ。
★ハンニバル=ゴールド (ライオン)
黒の領地の領主。スペアリで初めましてのハンニバル。体格的にも態度でもめちゃくちゃ威厳のある領主と見せかけてその実、1人神経衰弱を始め、ひとり遊びが好きな男。卑屈の面がアリスに似ているという点で今回ハンニバルの個性が生かされる。自分を卑下する部分の軌道修正にはブラッドが手を回してくれるし、ブラッドに認められるかどうかが このルートの肝であったりもする。ブラッド的にはきっと本気の部分もあるんだろうけれど、相変わらずアリスの停滞を最優先に生きている。背筋を伸ばしてThe領主が心を許している相手には背中を丸めて弱音爆発するのがでっかいのに可愛い。性格面と、過去のアリスを知らないところでアリスへの好意なのか、余所者故の興味なのかがだいぶ後半まで曖昧。
★エース (黒の騎士/赤の騎士)
アリスと道に迷っている者同士。スペードの国でずっと八つ当たりをし続けているエース。不安定と言われる原因は“あの人”と別れてしまったから。ずっと伏せられていた相手が“ユリウス”であることがここではっきり告げられる。ジョーカーを通して、アリスもユリウスと再会。もう1点、伏せられていた死んだ時に現れる時計と影の存在もユリウスを語るエースによって知らされる。エース自身の過去には触れず、今のアリスとして何も知らないからこそエースを“幸せ”だと思う、と伝えるのがスペードの国。アリス自身も、過去に執着してきた今までに比べて自分よりもエースとの過去への執着に方向性が変わる。ここまで名前の付く関係を目指してきた人が多い中で、曖昧な約束はせず、“名前が縛りにならないように”好きあっている同士の表現で留めるところが好き。エースが迷い込む場所としてキーになるのが勿忘草の群生地。最高。
★ナイトメア=ゴッドシャルク
(夢魔/駅長)
ハートの国からずっと夢の世界で手を貸してくれていたナイトメア。クローバーの国でお世話になるわけだけれど今回は駅の領主。他のThe王という他領に比べればだいぶ親近感があるし、ナイトメア個別ルート以外においては駄々っ子扱い。病弱で精神も弱い、仕事も薬も嫌いなナイトメア。クローバーの国では彼のことをよく知っていたはずで、今回も知れば知るほど放っておけなくなる。心の声が読めることで、言わなくても大抵の事は伝わるし、理解してくれる。体調面の似たもの同士も兼ねるのか、このルートはだいぶアリス自身も体調を崩す。現実から逃がしたのはペーターとそれに協力したナイトメアということで、本当に最初からアリスを救ってくれた2人の物語。
実は環境に飲まれているというだけで、チェスも物凄く弱い訳では無い。
★ジョーカー (サーカスの団長/監獄の所長)
スペアリスタート組はここでやっとアリスの罪が分かる。今までどの領土でもカジノに参加してきたし、後半であるBlack Worldではチェスへの参加もあったけれどここからは完全にアリスについて。スペードの国に属さない人物たちからアリスの過去を紐解いて行くことになる。ジョーカーは2人で1つのため、ENDも途中からホワイトさん、ブラックさんへ分岐するし、ジョーカーENDも2種類。White Worldである程度、ジョーカーの立ち位置は理解したところで本当の個別ルート。罪だと思って贖罪を求める人間が好きなジョーカーたち。どちらかと言えば温情があるのはブラックさん。アリスがジョーカーを選んでいる時点で、罪の償いに繋がるわけで...どっちのENDに行っても檻の中ではある。これまでの世界でも敵対してきたジョーカー。彼だけはアリスが生み出すもの。
罪の意識が生まれればいつでもアリスの傍にいる。
★キング
スペードの国のキングはこの人、ブラッド=デュプレ。わかってしまえば、確かにずっとトップの話し方してたなぁという印象ではある。黒の領土から帽子屋領に戻ってきて、改めて庭の絵について話す場面があるけれど、ブラッドがずーっとアリスと出会ったハートの国を大切にしていることがわかる。まして、個別が終わった今、よく元の世界でアリスが好きだった人に似ているという感情を利用しないで耐えたものだなぁと思う。
★ペーター=ホワイト (白ウサギ)
アリスを数字の世界に引き込んでから、自分の役割を受け渡そうとしていたペーター。これまでは、“世界に組み込む”までに時間を要することで、触れられていなかった 引き込まれた世界にずっといて余所者でなくなってしまえば、役割が消え他の顔なしたちと同様見分けがつかなくなるということが告げられる。ペーターとしては引き込んだ責任もあるし、何よりアリスに幸せになって欲しいといえ欲が強いことで自らが消えることを選ぼうとしている。