「国が正しいとは限らない」 危うい改正地方自治法 乱用、拡大解釈への懸念消えず・・・無能が多いし | hiyamizutosiyoriのブログ

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「国が正しいとは限らない」 成立した改正地方自治法の危うさ 指示権の乱用、拡大解釈への懸念消えず

東京新聞TOKYO Web  2024年6月19日 21時10分

https://www.tokyo-np.co.jp/article/334682

 

 非常時に自治体に対する国の指示権を拡大する改正地方自治法は19日の参院本会議で、自民、公明両党や日本維新の会などの賛成多数により可決、成立した。立憲民主党や共産党などは、十分な歯止めがないまま国が自治体に指示権を行使できる法体系とすることは「憲法が保障する地方自治を(立法で)踏みにじる」などとして反対した。

 

 これまで国の指示権は、災害対策基本法や感染症法など個別の法律に定めがある場合にのみ認められていた。改正法により、個別法の規定がなくても国が必要と判断し、閣議決定すれば指示権発動が可能となる。

 

 衆院採決時の法案修正で、国の指示権行使が適切だったかを検証するため、国会への事後報告を義務付ける規定が入った。ただ、国会による事前や事後の承認という、より厳格な手続きは盛り込まれていない。

 

 立憲民主党の小沢雅仁氏は19日の反対討論で「指示権発動の要件が極めて曖昧な上、自治体との事前協議、調整の義務も国会の関与もない」と指摘。「乱用が懸念され、自治体への国の不当な介入を誘発し、拡大解釈される恐れがある」と疑問を呈した。共産党の伊藤岳氏も「自治体を国に従属させ、地方自治を根本から破壊する」と批判した。

 

 指示権拡大を巡っては、首相の諮問機関である地方制度調査会が昨年末、法制化を答申した。答申は、横浜港に停泊した大型客船での新型コロナ集団感染や各地の病床逼迫(ひっぱく)などで国と自治体間の調整が難航したのは、関係法が対応していなかったためだと結論付けていた。(山口哲人)

  ◇  ◇

◆非常事態の的確な指示を出せるのか

 改正地方自治法に基づき、非常時に国が自治体に対する指示権を行使できるようになる。状況が刻一刻と変わり、地域ごとに事情が異なる非常時に、国が的確な指示を出せるのか、不安は尽きない。

 指示権が発動できるのは、大規模災害や感染症のまん延といった「国民の安全に重大な影響を及ぼす事態」だが、この中には「その他」の事態も含まれる。解釈次第でどのような事態にも当てはまる抽象的な要件で、自治体にとっては「白紙委任」になりかねない。

 乱用の懸念に対する歯止めも用意されていない。指示権発動を巡り、政府を監視する役割がある国会に事前、事後の承認は不要だ。

 

◆「全国一斉休校」や「アベノマスク」の教訓

 2016年の熊本地震では、屋外の避難者を屋内に収容せよという国の「指示」を熊本県益城町役場ははねつけた。結果、後に起きた避難所の天井崩落に巻き込まれず、現場の機転が多くの命を救った。新型コロナ禍での全国一斉休校や「アベノマスク」の全戸配布は、非常時における国の判断の危うさを示す。

 この間、地方からは「国がいつも正しいとは限らない」との懸念が繰り返し表明されている。国民の命を守るためには何が最良の道なのか。国は自治体と十分に意思疎通する必要がある。安易に指示権を行使してはならない。(三輪喜人)