最低時給が2000円越えしたイギリスで起こっていること・・・日本の最低賃金を引き上げてからの話だ | hiyamizutosiyoriのブログ

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筆者は、イギリスの最低賃金制度を批判しているが、こ筆者によれば、この「最低賃金制度は2016年4月、当時のデービッド・キャメロン政権の下で導入された」のだから、たった8年の歴史しかない。

 

しかも、この制度は、多分、賃金の引き上げが、インフレを下回り、国民生活が非常に困窮したから、後追いで導入されたものだろう。

 

では、イギリスで、賃金がインフレに追いついき、基準として考えられていたであろう年度の実質賃金まで回復したのはいつのことだったのだろう。

 

その後の賃金引上げにより、実質賃金が増加したようだが、これを批判的に、「インフレを上回る賃金の引き上げは、それ自体がインフレ圧力になる。」って脅すが、

 

失われた30年の日本のように、「賃金の引き上げがインフレを下回れば、それ自体がデフレ圧力になる。」のではないか。 

 

しかも日本では、非正規従業員が激増し、その間に、企業収益の従業員への分配率が低下し、株主配当や内部留保が激増しているのは広く知られているとおりだ。

 

また、筆者は、「『限度をこえた賃上げ』の罠、日本はまだ……」とか、『日本もまた『物価・賃金スパイラル』に陥ってしまうリスクがある』と盛んに脅しているが、

 

日本のように、30年以上、実質賃金の低下が続いて、デフレスパイラルに陥っている場合、

 

筆者がまさに記述しているように、“物価上昇を超える最低賃金の引き上げが行なわれて”「インフレが定着」した場合でも、なお(日本)「政府が最低賃金を引き上げるようなことが続けば」の場合に初めて、“「物価・賃金スパイラル」に陥ってしまうリスクがある”にすぎないのだから、

 

まず、直近の最低賃金の引き上げでも“なしえなかった”「インフレを上回る賃金の引き上げ」を実施することが必要になるのではないか。

 

結局、この論者は、言葉巧みに“「物価・賃金スパイラル」に陥ってしまうリスク”を利用して、“賃金上げなさすぎによる”“低賃金政策の続行を主張”しているに過ぎないのではないか。

 

「『物価・賃金スパイラル』に陥ってしまうリスク」は、まず、“失われた30年以前の、実質賃金を過去のピークにまで引き上げ”てから、

 

引き続き“労働生産性の向上や物価の上昇を超える賃上げが続いた場合”に初めて心配すれば済むことではないか。

 

なお、「イギリスでは多くの飲食業が廃業に追い込まれているという事実がある。それだけに、業界団体は最低賃金の引き上げに対して危機感を強めている。」のなら、

 

なぜ、日本のように、外国人労働者の“実質”移民の導入を行わないのだろうか。

 

EUの構成員として、また元大植民地帝国として、移民の実績の豊富なイギリスのことだから、

 

今また、日本式?″実質”移民による低賃金政策を採らないだけの理由があるのだろう。

 

その点について、この記事では説明していないのは、チョットね。

 

 

(元記事)

最低時給が2000円越えした「賃金上がりすぎ」イギリスで起こっていること

4/10(水) 8:10配信 

BUSINESS INSIDER JAPAN

https://news.yahoo.co.jp/articles/af0d81a9384b981cac76aa443d641af126c78c7e?page=1

 

日本は賃金が増加しないという構造的な問題を抱えて久しいが、賃金が増加しすぎることの問題も極めて大きい。先日はこのテーマについてドイツが陥りつつある賃金と物価の「負のスパイラル」を事例に寄稿した。

 

【全画像をみる】最低時給が2000円越えした「賃金上がりすぎ」イギリスで起こっていること

https://www.businessinsider.jp/post-285112?mode=assets&p=2

 

イギリスでは4月より、最低時給※が前年から9.8%増加し、11.44ポンドになった(図表1)。

 

折からの円安ということもあるが、日本円に換算すると、1ポンドが190円程度だから、ついに「イギリスの最低時給は2000円を超えた」ことになる。フルタイムで働いた場合、年間1800ポンド相当(約34万2000円)の賃上げとなる。従来は23歳以上が適用対象だったが、21歳以上に対象年齢が引き下がった。この恩恵を受けるイギリスの労働者は270万人以上となるようだ。

 

もちろん、これは「賃金」であるから、ここから税金や社会保険料を差し引いた「所得」はもっと少ない。一方、使用者(雇用主)にとっては、人件費が急増することになる。

 

とりわけ大きな打撃を被る飲食業では、業界団体であるUKホスピタリティが32億ポンド(約6000億円)の追加負担を強いられるとの試算を発表し、危機感を露わにしている。

 

飲食業界が悲鳴を上げる背景には、経営者にとって、今のイギリスの賃金水準が高過ぎるという問題がある。賃金を増やさなければ労働者は集まらないが、増えた人件費に見合うだけの利益を経営者は計上できていない。利益が見込めなければ投資も増えないため、イギリスの飲食業は先細りを余儀なくされる ── というのが業界団体の主な主張だ。

 

2020年のコロナショックや2022年のロシアショックを受けて、ヨーロッパ経済はスタグフレーション(景気低迷と物価高進の併存)にさいなまれており、イギリスはその傾向が極めて強い。この過程で、イギリスでは多くの飲食業が廃業に追い込まれているという事実がある。それだけに、業界団体は最低賃金の引き上げに対して危機感を強めている。

 

※いわゆる最低賃金ではなく、労働者が最低限の生活を維持するために必要な生計費から算定した賃金である国民生活賃金を指している。

 

2016年から引き上げられてきた最低賃金

最低賃金の引き上げが顕著なイギリスだが、それをインフレとの兼ね合いで考えてみたい。

 

現行の最低賃金制度は2016年4月、当時のデービッド・キャメロン政権の下で導入されたものだ。それまでイギリスでは、物価の上昇が賃金の増加を上回る状況が続いていたため、政府は家計を支援する観点から最低賃金の大幅な引き上げに踏み切った(図表2)。

 

しかし、インフレを上回る賃金の引き上げは、それ自体がインフレ圧力になる。前回コラムのドイツの現状でも指摘した、いわゆる「賃金・物価スパイラル」に、イギリスは数年早い2010年代後半の時点で陥っていたと考えられる。

 

この負のスパイラルから抜け出すためには、賃金の増加に歯止めをかける必要がある。しかしイギリスのリシ・スナク政権は、総選挙を控えていることもあって、最低賃金の引き上げを優先する。一方で、本来なら国内の高インフレが嫌気され、通貨ポンドは売られる必要があるが、実勢相場は理論値である購買力平価に比べ割高なままだ(図表3)。

 

つまり、国内の物価や賃金のみならず、為替の観点からも、イギリスでは高コスト化が進んでいることになる。もともとイギリス経済は、2010年代に入って先進国の中で最も深刻な生産性パズル(生産性の伸びの停滞)の問題に直面していた。2016年来の最低賃金の引き上げやポンド高で、その問題がさらに深刻化した印象が否めない。

 

加えて、欧州連合(EU)からの離脱に伴う供給網(サプライチェーン)の再編コスト(関税業務の復活など)や、ロシアショックに伴うエネルギーコスト増が、イギリス経済にのしかかった。それをまた、イギリス政府は最低賃金の引き上げでカバーしようとしている。これでは、イギリス経済の生産性など改善しようがないといったところだろう。

 

行き詰まるイギリス。政権交代が「コスト増」を呼ぶ理由

このように高コスト化が進むイギリスでは、2025年1月までに総選挙が実施される。EU離脱に伴う社会経済の混乱や高インフレに対する不満から、最大野党である労働党が地滑り的に勝利し、与党の保守党は歴史的な敗北を喫する可能性が高まっている。総選挙で労働党が大勝利となった場合、2010年5月以来の政権交代が実現することになる。

 

問題は、労働党が政権を奪取した場合、最低賃金の引き上げがさらに進む恐れがあることだ。

 

労働党は近年、中道右派の保守党との違いを明確にすべく左派回帰を鮮明にしており、成長よりも分配を重視する姿勢を強めている。そのため、労働党政権が成立した場合、政府が最低賃金をこれまでより大胆に引き上げる可能性が高い。

 

そうなれば、イギリスの「賃金・物価スパイラル」はますます深刻化する。

 

それに労働党は、グリーン化政策にも熱心であり、再エネ発電の一段の普及にも力点を置いている。天候や地形に左右される再エネ発電は出力が不安定であるため、エネルギー価格の動向も不安定となり、物価の押し上げ圧力になる。

 

つまるところ、労働党政権が誕生すれば、イギリス経済の高コスト化が進むと考えたほうがよさそうだ。

 

「限度をこえた賃上げ」の罠、日本はまだ……

イギリスやドイツのように、持続的なインフレが定着した経済の場合、最低賃金をいたずらに引き上げることは、「賃金・物価スパイラル」への道を招くリスクが大きいといわざるを得ない。

 

他方で、長らくデフレが続いた日本の場合、賃金の引き上げは喫緊の課題であるため、政府による最低賃金の引き上げの試みも一定の合理性を持つといえるだろう。

 

とはいえ日本でも、急速な少子高齢化を受けて、今後は一段と人手不足が深刻化すると予想されるため、インフレが定着する可能性は高いと考えられる。

 

そうなった場合でも、政府が最低賃金を引き上げるようなことが続けば、日本もまた「物価・賃金スパイラル」に陥ってしまうリスクがあることを、我々は認識すべきだろう。

 

※寄稿は個人的見解であり、所属組織とは無関係です。

 

土田 陽介