『雲の墓標』⑯ | 樋浦明夫のブログ

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日々の出来事(家族や私的なことに触れるのは苦手なので、主としてグローバルな事)、歴史的な過去の出来事、浮世のことについて思ったこと、感じたことを思いつくままに写真や文で紹介したい。

 今日は衆院東京15区、島根1区、長崎3区の3補選の投票日だ。東京15区では立憲民主党の酒井なつみ候補、島根では立民前衆院議員の亀井亜紀子候補、長崎では立民前衆院議員の山田勝彦候補がそれぞれ野党共闘(立民、社民、共産は自主支援)の形で闘ってきた。3補選ともひいては自民党の金と政治の問題で生じた補選である。

 この間、自民の大物閣僚らは国民には増税を押し付けておいて大企業や業界団体から企業献金を受けて裏金を作って脱税までしていたことが明らかになってきた。裏金議員たるや自分は知らぬ存ぜぬで逃げ回り、ほとぼりが冷めるのを待っているというずる賢さ。自民党自体が裏金問題の本質(誰が何のために裏金を集め、何に使ったのか)を追及する自浄能力に欠けている限り、見せかけの改革(罰則を課す、収支報告書の不記載をなくすとか、裏金かどうかを責任者が確認して報告する等々)ではまた同じことの繰り返しになることは目に見えている。

 キッパリと政治資金パーティーの禁止、企業献金の禁止という根本を糺(ただ)さないと絶対にダメだ。ともあれ、3補選で自・公・維新との対立候補(立民の候補者)が勝利して岸田政権を退陣させることが日本をまともにする第一歩になることを期待したい。

 

 藤倉の厭戦的なご高説に対して、「戦争などというものは、みんなが多少狂っていてこそやり遂げられるんだ。それで丁度いいんだ」と言ったら、藤倉は二人の友をひどく軽蔑的な眼つきで見た。それじゃわれわれがどうしたらいいのかという問いに藤倉は、一人一人で生きのびる道を粘りづよく考えること。どうしても駄目なら、自覚と誇りを最後まで捨てずに死ぬこと、と答えて自分の自覚は貴様らとは違うんだということを鮮明にした。

 水俣に着いて駅の近くの坂を少し上がったところに静かな庭をもつ由緒ありげな深井家という古い家があった。三人ともこころをひかれ、無礼をかえりみず案内を乞うた。思いがけず酒肴がでたりして、外出の折には気兼ねなく寄ってくれと言われて、気を良くして辞去した。深井家には50年配の夫婦と、自分らより2,3歳したと思われる感じのいいお嬢さんがいた。長男は慶応を出て、技術中尉として天津の陸軍部隊にいた。厳しい現実と一時の夢のようなことが描かれている。