2019年2月22日 のブログで、、、

作詞家・橋本淳の評価が、あんがい低くないですか?

と書いた。

橋本淳氏の訃報(2026年6月1日)に接し、以下そのブログを一部修正して、再掲する。 

【2026年6月3日】

 

 ―― 作詞家・橋本淳(本名:与田準介)といえば、作曲家・筒美京平(本名:渡辺栄吉)の青山学院大学での1年先輩で、筒美を、当時「TV/ヒットパレード」のプロデューサーだった、すぎやまこういちに紹介して、プロの作曲家にさせた、という伝説で有名だ。

  二人は、青学の高等部時代からの友人で、大学でも、ジャズバンドを組んでいたらしい(橋本がベースで、筒美がピアノだったそうだ)。

 しかし、この橋本淳も、筒美とのコンビも含め2000曲以上は作詞している(2025年時点では、「平山みき」への提供詞も含めるともっとかもしれない)。

 まあ、その多くは、1967年~1981年の15年間に集中している。

 のち、競馬事件(不正ギャンブル疑惑)の問題があってからは、おもてには出てこなくなったが、いまだ作詞活動はしているようだ。

 

 競馬事件のときには、「あの【ブルーライトヨコハマ】の作詞家・橋本淳が、、、」と言われていた。しかし、橋本は、レコード大賞を「ブルーシャトー」でとっている。どっちが有名なんだよね。 ただ、「ブルーライトヨコハマ」は、代表作だろう。それは、筒美にとってもだが。

 

 それで、「ブルーライトヨコハマ」の話になるが、これを歌った、いしだあゆみによれば、レコーディングは、長時間にわたったらしい。それは、筒美ではなく、橋本のほうが、なんテイク(採り直し)を要求したからだという逸話がある。

 ちなみに、筒美と二人で、可愛がっていた平山三紀を、デビューまで、1年かけて(2人で)レッスンをしたという(JAZZの声質・発声法をJ-POP的に生かすという訓練かと?)。

 

 いしだが、この歌をはじめてTVで歌ったとき、同じ番組に出ていた加山雄三が、「あゆみちゃん、これは売れるわ、まいったなあ」といったという。

 おそらく、当時アメリカで流行っていた、バート・バカラックの軽みと江戸の小唄の洒脱さをミックスさせてような無国籍感が、ヨコハマの夜のイメージにあったのだろう。--この曲も、凝っている。 まず、イントロのイントロ(いわゆる引っ掛け)がある。

 

 チャラ~ン と  セブンスコードで、不安定に出てきて   チャッチャッチャ~ チャッチャチャチャ~ ー というふうに、、、、、

 

 で、橋本の詞の特徴は、以前にも少し触れたが、阿久悠やなかにし礼などが、物語の構築をベースにしたのに対し聴き手に物語を構築させる脱「物語構築」の作詞術を感じる。松本隆にも、阿久悠や秋元康ほどではないが、自分の作詞世界を「どうだ」と提示する傾向がある。 

 ――職業作詞家は、「注文受注型」だから、それでメシを喰っているという傾向があるのは当然だが、橋本淳は、むしろ、ややスピッツの草野マサムネ風に「聴き手に解釈をゆだねる」式の『荒地』以降の「象徴詩風」なのだと思う。

 また、この物語構築性で言えば、秋元康も、最近(よけいに)解説説明的な(啓蒙的ともかんじるが)詞を書いている。児玉雨子もときどき構築性を感じるが、全体として物語構築度は少ない。

 

 スピッツ(草野マサムネ)らの影響をうけた世代は、物語は、自己完結してあえて構築はしないほうを好むようだ。

 断片的なフレーズの組み合わせイメージを是としている感がある。それは、長く歌いつがれる可能性を秘めている。

 

 物語構築という感じでいえば、「喝采」の吉田旺なんかがその典型だ。

 「懺悔の値打ちもない」のときの阿久悠、「石狩挽歌」のなかにし礼、もそうだが、「天城越え」の吉岡治などは、物語性をイメージ断片でつないでいる感じだ。同じく吉岡「八月の濡れた砂」などもイメージ断片の創作風だ。

 

 物語を構築しないという作品だと、橋本で言えば、ダイナマイツの名曲「恋はもうたくさん」(鈴木邦彦作曲のGSを代表する曲だと思う)なんかがそうだ。

 意外にも、郷ひろみの「誘われてフラメンコ」「恋の弱み」なんかもそうだと思う。

 

 「よこはまたそがれ」は、山口洋子だが、橋本がつくりそうな感じである。

 まあ、この作詞は、フランスの詩のパクリだと言われたが、まあ単語の遠近法と節回しで、聞き手を納得させるというアイデアはわるくないのだが、、、

 

 ということで、橋本のこの作詞法は、草野正宗(マサムネ)あたりに引く継がれたのではないかと思う。

 松本隆、秋元康、の作詞には、両方の要素が(その楽曲による割合は別として)あるように感じるが、どうでしょうか?

 

 まとめに一句。

 

            テルヒコに誘われ夏のフラミンゴ    ひうち