夕方チャンス You’ve gatta chance  【俳句50句】

 

 

001

朝涼し山階鳥類研究所

青蔦の過客からまりすぎるまま
逆夢の途中に消えてゆく蛍
五階から旧札ばらまく走り梅雨
きにかかる二階の女と櫻桃忌
半夏生傘のなかから顔四つ

階級は軍曹なのだヒキガエル

しめやかに営む夜へと蛞蝓

みずうみの空遠くまで夏帽子

まっすぐに曲がる胡瓜を加茂街道

 

002

つつかれてイタい古傷どぜう鍋

セニョリータぐるぐるツイスト海開き

海辺までゆるり水母の日曜日

モノクロの遠いみずうみ茗荷の子

真夜中を闇営業のニシキヘビ

闇営業ドンドン入れるゴミ鯰

2+2わからなくても蛙とぶ

生き物ものと生モノ注意海の家

ひと夏の課外授業と先生と

夏いっぱい太陽いっぱい腹いっぱい

 

003

打ち水をちょっと余分に月曜日

火曜日のクチナシ匂う崖っぷち

水曜日ゴミ捨て当番梅雨鯰

蚊喰鳥誰も知らない木曜日

ちょっとだけ合言葉めく金曜日

逆走は危ない土曜日カナブンブン

土用波ながめるだけの日曜日

夏燕カミソリシュートは胸もとへ

古古古古米雄鶏と食う穀象虫

またたくま晩節けがしてゆく晩夏

 

004

腹見せて生きざま嗤え鰻喰う

軽井沢那須別荘にも来る猛暑

空目するフランス人魚熱帯夜

曼荼羅の涅槃で待てば茗荷の子

金亀子おまえもソートー悪よのー

タウリンを1000mmgと父の日と

水平に梅雨を撥ねのけ象の耳

ジューンドロップ集まれこども家庭庁

つばめの子アンパンマンを食べて寝る

早々と暑中見舞いの「みつを」文字 

 

005

口実に好日山荘暑気払い

さあどんどん猛猛暑日の次のつぎ

つぎつぎと猛暑はるかに店じまい

風待てばユウ(ヴ)ガッタ(ァ)チャンス海開く

    *You’ve gatta chance

海開く夕方Chance潮満ちて

幾億回散って開いて沙羅も死も

夏椿ゆうがたワンチャンあさがたも

夕月と湯女と遊女と誘拐犯

八月の皇國もゆる二重橋

遠泳の消えゆくさきを水平線