〔2024年〕8月21日の『朝日新聞夕刊』に岩田奎さんの俳句(12句)が載った。タイトルは「わかる」だ。

 

冒頭の句は、「わかる句を書けよと秋になりにけり」  だ。

 

あとの11句のうち、句意がわかりそうなのは、1~2句という感じだ。

 

若干24歳ながら、古今の言葉とそのヒネリ遣い(いわばインターテクスチュアルな嗜好性?)をよくご存じの岩田氏だが、「ふつうの言葉で意外な句をつくる」ことをモットーとする小生とはやや径庭があるようだ。

 

たとえば、「新涼や打倒クボタのヤンマーも」だが、前提として、まず、同じく大阪で生まれた農業・土木機械などのメーカーのクボタの資産・売上・純利益などは、いずれもヤンマーを上まわっているという事実を知っているということが必要だ。さらに、上五の「新涼や」と下五の「ヤンマーも」は、どう関連するのか?だが、これもヤンマーという社名の由来を知っていることが必要かもしれない。

 

「ヤンマー」はトンボのやんま(おにやんま、ぎんやんま、など)から採られているということだ。

トンボ、とくに赤トンボが里に下りて来ると秋になる、という。「新涼」は、おそらくこのことと呼応するのだろう、というのが小生の見立てだ。機智の取合せの一種だが、どうも素直ではないような気がするのは小生だけだろうか?

 

最後の句「天の川御車代を胸許に」は、比較的わかりやすい句だが、小生には、どうしても、赤坂料亭の接待の帰りの風景を皮肉ったようにしか読めない。ネオン街の夜空には天の川は見えないが、心のなかにはあるのだろう、きっと。

 

しかし、掲載写真からは、24歳とは思えない風貌になった岩田奎氏だが、開成⇒東大の先輩の小林鷹之(コバホーク)氏を是非しのいでもらいたいと思う次第である。

 

 まとめに一句。

             ワカルカナ?わかんねぇだろうナ~夕焼け  ひうち