裁判官の地域手当の差は減給にあたり違憲だ!――現職判事が異例の提訴へ
地域手当の支給額に差があることで、転勤により給与が実質的に減ったのは、裁判官報酬の減額を禁止する日本国憲法80条2項*に違反するとして、三重県の津地裁の竹内浩史判事(どどいつブログ裁判官として有名**)が、4月16日、減額された給与の差額支給や国家賠償を求め、近く名古屋地裁に提訴すると記者会見で明らかにした。
現職判事が国賠訴訟を提起するのは異例というか初めてではないだろうか。
竹内浩史判事は、
「裁判官の地域手当は、勤務地による生活費の格差を埋めるため、主に民間企業の給与が高い地域で働く人に支給される。地域ごとに差があり、竹内氏は大阪高裁や名古屋高裁を経て、津地裁に異動し、給与が令和3~5年に計約240万円減った」
と主張している。
日本国憲法80条2項は、地裁や高裁など下級裁判所の裁判官は定期的に相当額の報酬を受けると規定。在任中は「これを減額することができない」としている。
*日本国憲法 第八十条
下級裁判所の裁判官は、最高裁判所の指名した者の名簿によつて、内閣でこれを任命する。 その裁判官は、任期を十年とし、再任されることができる。 但し、法律の定める年齢に達した時には退官する。
② 下級裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。
** 竹内浩史判事のブログ は、https://blog.goo.ne.jp/gootest32
経歴は、以下の通り。
竹内 浩史(たけうち・ひろし)
津地裁部総括判事・津家裁部総括判事・津簡裁判事
*先般、弾劾裁判で裁判官を罷免された岡口基一(元)裁判官と並んで、裁判官ブロガ—として有名。
ちなみに、竹内氏は、日本裁判官ネットワーク会員、で、青法協会員、でもある。
近著に『「裁判官の良心」とはなにか』(LABO、2024年5月刊)。
異動履歴
- R 5. 4. 1 津地家裁部総括判事・津簡裁判事
R 3. 4. 1 津地家裁部総括判事・津簡裁判事
R 2. 4. 1 名古屋高裁判事・名古屋簡裁判事
H29. 4. 1 大阪高裁判事・大阪簡裁判事
H26. 4. 1 大分地家裁部総括判事・大分簡裁判事
H22. 4. 1 横浜地裁判事・横浜簡裁判事
H19. 4. 1 さいたま地家裁川越支部判事・川越簡裁判事
H17. 4. 1 東京地裁判事
H16. 4. 1 東京高裁判事
H15. 4. 1 東京地裁判事 -
主な判決(裁判所ウェブサイトから引用)
- まとめに一句。
イケンいけん啼いて火を吐くホトトギス びうち