彼岸論 50句  2012~2013エチュード❸

 

001

桜蕊降る重いおんなの隠し技

ワケあってしのいでいますネギ坊主

ワケあってヤのつくシノギ葱坊主

折り紙の折り目正して春暮れる

夏さればパーパーナイフで切る秘密

春うららいい日いい医者いい病気

スカンポや小鳩ミルク飲み人魚姫

変人が恋人だった春の果て

恋人も変人だった春の果て    

変人が恋人になる春の果て

 

002

花水木おさな妻とて齢をとる  

愛人の卵あたため春愁い

世を忍ぶ仮のシノギで葱坊主

ワケあって立たされちまった葱坊主

ワケあって雑巾がけする葱坊主

さくら散る天動説を唱えつつ

香水の残る未熟な熟女かな

ロリ声の萌えキャラアニメ残花あり

未だにと言われ十年永き春

秀吉も連れて醍醐の花見かな

 

003

蛙鳴く前人未踏の天の沼

サクラチル天地天壌動かして

長襦袢のままで頬杖余花の雨    

キャミソールのままで頬杖余花の雨

帰りなんいざ下天の春は浪漫派

麻呂はもうおねむであるぞおぼろ月

朧月いつまでどこまで濡れたまま

いつのまに一億黒いチューリップ

パステル系イースターエッグてんこ盛り

舞い戻るミセス・ワタナベ余花の雨

 

004

桜さくら行年天寿戒引導

惜春の「情況」そろう古本屋

美し國新しき國春霞

春眠は惰眠の続き月曜日

桜桜天寿行年戒引導

忘却も忘れて母は白木蓮

焼香を終え振り向けば花ふぶき

逝く母の白き顔(かんばせ)花の雨

額縁の母はもう妣(はは)春の虹

額縁の母すでに妣暮

 

005

母すでに妣なりし日に春を愛づ

神童と呼ばれし人と春惜しむ  

逝く母の白き顔ばせ花吹雪

逝く母の顔ばせ白く春の月

一行の岩田明朝梅香る

一行目岩田明朝風光る  

矢三本使い果たして目借時

春はあけぼのメリーポピンズ降ってきて

たんぽぽのひそかに絮となるあした

願わくば他力本願彼岸すぎ