すでにご存知かもしれないが、12月6日下記のニュースに接した。


 この本『あの子もトランスジェンダーになった』の内容は掌握できていないが、このところ、公衆浴場、更衣室、トイレ問題等で、とくにトランスジェンダーへのSNSでの攻撃が強いようなので、そうしたことが背景にあるのかもしれない。

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 KADOKAWAは12月5日、トランスジェンダーに対する“ヘイト本”との批判が相次いでいた
書籍『あの子もトランスジェンダーになった SNSで伝染する性転換ブームの悲劇』の刊行中止を発表した。
https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/2312/05/news208.html
https://www.kadokawa.co.jp/topics/10952/
 

 しかし、問題は下記のように、少々複雑なようだ。
 くわしく調べてみると、これは表現規制をすべき問題ではないと思うようになった。

 

  千田有紀武蔵大学社会学部教授(社会学)の解説によれば、下記のとおりだ。
 

 「ジェンダー肯定医療のスキャンダルに投じられた一石 KADOKAWAの出版停止が隠した問題」

 KADOKAWAから発売予定だった『あの子もトランスジェンダーになった―SNSで伝染する性転換ブームの悲劇』(アビゲイル・シュライアー著、岩波明監訳)の発売停止になった。
 この本の邦題がよくなかったという意見があるが(KADOKAWAもそう謝罪している)、
 原題は『Irreversible Damage: The Transgender Craze Seducing Our Daughters』、つまり『取り返しのつかない損傷-娘たちを誘惑するトランスジェンダーの狂乱(的流行)』である。
 (eversible、damage、seduce、crazeというすべての単語に抗議がわき起こっただろうと予測する)。
 問題は、この本がジェンダー肯定医療のありかたに一石を投じているという事実であり、ジェンダー肯定医療のありかたは、早晩日本でも問題になっていくと思われる。


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 なお、世界各国で翻訳され、ベストセラーになっているという本書の監訳者は、精神科医としても有名な岩波明氏であると知った。

 

 一般的に言えば、出版社の表現自主規制は、重要な問題だ。

 こんかいのKADOKAWAの場合は、宣伝文句や表題は変えても刊行延期で済ませるべきだった(刊行中止の決定はすべきではない)。

 自分の性(こころとからだ)に違和感がないのに性転換手術を受ける行為を法的に制限できるか、という問題は、賛否はともかく「身体を改造する自由と倫理」の問題のようで、これからのテクノロジー発達にともない、重要なテーマになると思われる。

 

  ここで一句。

          こころとはからだの一部寒昴  ひうち