🌸 葱坊主の客人(まろうど) 50句選 2023年4~5月

 

 

001

ゆく春の魚の泪を乾かして

魚の目に乾坤一滴はるがゆく

春愁を洗濯したが生乾き

春雨じゃ濡れたまま逝くシュンペーター

濡れ衣の乾く間もなく花の雨
乾杯はおあずけにして春の宵
来るべき五月の空へ乾杯
青春の乾いてしまう遅桜

直球はすべて荒れ球青胡桃

客人(まろうど)は釈迢空か花の冷え

 

002

春の雪修羅と仏と釈由美子

解釈は読み手次第に春愁い

響きあう春のイムジチ四重奏

一廉(かど)の直言居士か葱坊主

天国は鳥打帽に百千鳥

春逝かんあわれおみなご縄文人

雪果てん水曜の鐘響くとき

春光を水曜の鐘の鳴り響く

釈明は午前三時の花筵

率直な意見の具申受難節

 

003

たましいの残り香消えぬ復活祭

花の果て修羅雪姫に釈由美子

舌の根が乾いてしまうシャボン玉

法釈義浩瀚として春爛漫

遠耳は長寿の由来春の虹

買いたての靴は天へと青き踏む

犯人はお前だ桜は満開だ

春眠の目ん玉隠して探せない

春塵や期日の過ぎた掲示板

隠れ家に赤き魔女の眼イースター

 

004

トンボ切るサーカス旅団鳥雲に

朧夜を「眼球譚」の隠し場所

青嵐残響掻き消せ鮮やかに

青葉濃し敵も味方も鳥羽伏見

石楠花にたどり着くまで句読点
あの頃はヤンチャ・ラ・マンチャ葱坊主

伏線を回収できず春がちる

山師香具師(やし)西行法師と花の果て

さらわれてさわられ 賓頭盧(びんずる)五月かな

エアコンは送風モード青田道

 

005

交信は誰彼かまわず青葉風

モノクロに映像編集麦の秋

麦の秋映像編集モノクロに

門限は午前二時です青葉木菟

鯉のぼり子ども一人に親三人
誰彼とかまわず呼ぶ声青葉風
生まれくるものに乾杯聖五月

裏声の空から降って夏兆す

花は葉に攫われ触らる賓頭盧(びんずる)尊

ゆく春の香味残れる小鉢かな