🌸 おとなになれば   2023年春 50句

 

001

01 教室に師の痕跡や名残雪 

02 順番を待って開帳涅槃西風

03 春寒のあしたにひとり降りて駅

04 梅三分師匠をこえて指す一手

05 人の世に正直一番春一番

06 比良八荒近江長浜盆梅展 

07 恋人はお口だけよね雪どけて

08 天国は鳥打帽に百千鳥

09 袴にて女子大生を卒業す

10 一廉の直言居士や涅槃雪

 

002

11 春逝かんあわれおみなご縄文人

12 春風にのって横着なる黄砂

13 つくしんぼ最後は誰を摘んでゆく

14 啓蟄を手から足から目が口が

15 東風吹かばちょっと手が出る道明寺

16 買い立ての靴はお仕舞い青き踏む

17 東風吹かば恥ずかしながら横井さん

18 適当に春を混ぜ混ぜサラダ旅

19 地図にない場所探す旅梅の宿

20 春光のすこしかゆくて脱ぐ上着

 

003

21 とんぼ切るサーカス旅団鳥雲に

22 旅ゆけば近江の国に花菜の黄

23 旅人(たびびと)の客人(まれびと)となる花筵

24 ゆれながらあわれおさなご蛍烏賊
25 春は曙旅支度して地図のなか

26 慶長の大判小判に花見酒

27 千余人従えてゆく花の宴

28 花見酒ごくらく極楽あのよろし

29 花より出で花より旨し団子花

30 老兵の消えゆく坂や上り坂

 

004

31 醍醐味はこれからはじまる花筵

32 太閤の悟りを知らぬ花万朶

33 春なんだがなぜか食指が動かない

34 差し指に消えゆく春の残り滓

35 人の世は予定不調和蝶生る

36 傷痕とかげろう消して下り坂

37 四月馬鹿早く生まれて下級生

38 まれびとの旅びととなる遅桜

39 なんでやねんナナメうえからきてサクラ

 

005

40 爪跡を消して陽炎のこるのみ

41 ふぞろいのクレヨンそろえ春のゆく

42 てふてふやあはれをみなご天に消ゆ

43 飛花落花蟄居謹慎コレ命ズ

44 消息はそれから杳と花の冷え
45 指原を「さしこ」と呼べば花万朶(はなまんだ)
46 朧月異端審問地動説

47 太閤の悟りを知らぬ花万朶

48 春光やおとなになれば無味無臭

49 人の世の諸行無常に蝶生る

50 春嵐行政文書にコップにと