🌸 読みさしのヘミングウェイ ――2022夏40句

 

 

001

あじさいや変わるアジアの歴史地図

土用波かつてここらにいた原人

凹んでた今日という日の遠花火

ゆく夏のヒコーキ雲に消えてった

適当に撃ったジャベリン心太

雷雲に立つガンダムの肩背中

向日葵や国籍のない地下に墓地

渋柿の花咲く儒者の掛軸に

野に下る訓詁学者や半夏生

青梅雨や大和大学新学部

 

002

ゆらりくらりナイトプールをくらげ

籐椅子に置く江戸切子男子女子

ゲロッパゐゑゲロゲロがまがえるン

鰻喰え円満円安萬福寺

店先を野生西瓜の恣(ほしいまま)

サバンナに野生スイカを転がして

水銀のちむちむどんどんウナギめく

入り明けて戻り荒れてはのち旱

花はちす盛りをすぎて極楽へ

あゝ無常なる祇園囃子の鉦の声

 

003

アの夏の黛まどかノいた句会

大枚をはたいて稚児とコンチキチン

コンチキチン三十六峰こだま(木霊)して

宵山も宵々山も東山

戻り梅雨あけないままにコンチキチン

早や梅雨も明けてコロナもコンチキチン

鷹山や復古復活日向水

鷹山や当節倹約コンチキチン

疫病の退散もせずとも祇園会に

山よりも鉾がたいせつ宵々山 

 

004

吉符切りゃ祇園囃子の鉦の声

祇園会や諸行無常よカネをくれ

祇園会や鷹山のきくカネの声

鷹山の諸行無常にカネの声

はらはらと山河乱れてもう晩夏

山開くいつか下天の夢をみて

夏怒涛ヘミングウェイを読みさしに

逃げてドバイ死なばもろとも大夕焼け

夏休み登校三日あと半旗

土用波人類がいた惑星だ