10月25日の報道によると、立憲民主党の小西洋之参議院議員が、2004年に「日本学術会議法」を学術会議による推薦制に変更したときに(第17条改正等)、所管の総務省から内閣

法制局に宛てて提出された法案審査資料のなかに

「学術会議から推薦された候補者につき、任命を拒否することは想定されていない」という文言が出てくることを指摘したという。

 

いやあ、これは、先日の野党ヒアリングでの、内閣法制局、内閣府参事官の答弁とは、ニュアンスがだいぶ違ってくる。解釈変更云々以前の問題かもしれない。

 

答弁の論点を整理すると

①「学術会議からの推薦どおりにかならず新会員を任命しなければいけないわけではない」

②「その法解釈の趣旨は1983年当時から変更していない」

③「この法に言う任命は、憲法15条1項規定を支える国民主権の原理から導かれている」

④「任命を拒否した理由は、人事に関することなので(当職からは)申し上げられない」

というようになろうか。

 

上記の文書の存在を認めても、このように①に付け足すかもしれない。

①+ 「学術会議からの推薦にどおりにかならず新会員を任命しなければいけないわけではない」「2004年資料は、任命拒否は法改正の趣旨としては想定されていなかったということである」などと、苦しい言い訳をする。

 

憲法15条1項から国民主権原理を引き出し、国民に形式上(間接的に)選ばれた形になっている、内閣総理大臣に、政府からの独立性を明記する「日本学術会議」の最終人事権(フルスペックな人事権)の全権委任ができるような「法に書かれていない」橋下徹氏のような法解釈は、法律家のものとしては初めてきいた。

それは、首相への「全権委任法」があったとしても、それは憲法に抵触するのではないか。

この理屈は、内閣法制局のなかだけで通用しているのだろうか。

 

まあ、百歩譲って、「学術会議からの推薦どおりにかならず新会員を任命しなければいけないわけではない」という理屈は、日本学術会議法の7条、17条、25条、26条、などの立法の建付けかたに照らしてみれば、「内閣総理大臣が、この会員を任命すると国民に責任を負えないと判断した場合は、推薦もとの日本学術会議に理由をつけて再考を求める」手続が要請されているとみるべきではないか。

 

いずれにしても、会員数が、自らの責任で法律上の人数に達しない場合、最高裁判事、国会議員数、内閣閣僚数、など、と同様、違法状態は、その違法状態という瑕疵を作り出したがわの責任だというのが法解釈のスジだろう。

 

 

*参考◎日本学術会議法(2004年改正)抄

 

第三章 組織

第七条 日本学術会議は、二百十人の日本学術会議会員(以下「会員」という。)をもつて、こ れを組織する。

2 会員は、第十七条の規定による推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する。

3 会員の任期は、六年とし、三年ごとに、その半数を任命する。

4 補欠の会員の任期は、前任者の残任期間とする。

5 会員は、再任されることができない。ただし、補欠の会員は、一回に限り再任されること ができる。

6 会員は、年齢七十年に達した時に退職する。

7 会員には、別に定める手当を支給する。

8 会員は、国会議員を兼ねることを妨げない。

 (昭二四法二五二・昭二五法四・昭五八法六五・平一六法二九・一部改正)

第八条 日本学術会議に、会長一人及び副会長三人を置く。

2 会長は、会員の互選によつて、これを定める。

3 副会長は、会員のうちから、総会の同意を得て、会長が指名する。

4 会長の任期は、三年とする。ただし、再選されることができる。

5 副会長の任期は、三年とする。ただし、再任されることができる。

6 補欠の会長又は副会長の任期は、前任者の残任期間とする。 (平一六法二九・一部改正)

第九条 会長は、会務を総理し、日本学術会議を代表する。

2 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるときは、会長の指名により、いずれかの一人 が、その職務を代理する。

 

第四章 会員の推薦 (昭五八法六五・全改)

第十七条 日本学術会議は、規則で定めるところにより、優れた研究又は業績がある科学者の うちから会員の候補者を選考し、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣に推薦する ものとする。 (平一六法二九・全改)

第十八条から第二十二条まで 削除 (平一六法二九)

 

第六章 雑則 (昭五八法六五・旧第七章繰上)

 第二十五条 内閣総理大臣は、会員から病気その他やむを得ない事由による辞職の申出があつ たときは、日本学術会議の同意を得て、その辞職を承認することができる。 (昭五八法六五・全改)

第二十六条 内閣総理大臣は、会員に会員として不適当な行為があるときは、日本学術会議の 申出に基づき、当該会員を退職させることができる。 (昭五八法六五・全改、平一六法二九・一部改正)

第二十七条 削除 (昭五八法六五)

第二十八条 会長は、総会の議決を経て、この法律に定める事項その他日本学術会議の運営に 関する事項につき、規則を定めることができる。 (昭五八法六五・一部改正)