関西圏に住む若手の女性俳句作家といっても、場所、年齢などの範囲をどうするかというも根本問題もあろうが、とりあえず、20代、30代の大阪、京都、兵庫、滋賀、奈良、に住む俳句作家(俳人というと重いので)しぼると、下記の2人が思い浮かぶ。

特徴がはっきりしているから、やや難解であっても理解・解釈しやすいというのが共通要素か。中山の剛腕(+速い変化球)に対して、加藤はゆるい変化球を投げるという感じだ。

 

以下、10句ずつ紹介しよう。

 

  ジャポニカ学習帳        中山 奈々

 

ジャイアントパンダ定位置梅雨の入
ポケモンの進化ばつちり蔦茂る
ニキビの芯並べ夏蝶まつてゐる
カプカプとクラムボン教科書に蝿
がんばりましやうのスタンプ天道虫
クラス目標ゴキブリを倒すこと
シュールレアリズム昼寝をしてゐたる
うんと答へて嫌はれてゼラニュウム
チョーク転がる夕焼を描きあげて
うしろから鉛筆ぐさりかたつむり

 

* 中山奈々(なかやま・なな) 1986年生まれ。大阪府立吹田東高校在学時に作句開始。2003年俳句甲子園出場。現在「百鳥」「里」所属。 旧仮名口語体という変則俳句体だが、世代を反映した独特の語彙と俳句の強度が特徴か。俳句体の選択、自己拘束を早期にしてしまうのは良し悪しがあろうが、この変則体は面白い。

 

  うらきら             加藤 綾那

 

セーターの中で苦しくなっている

ピストルに詰めこむ雪で狙ってよ

冬の虹逆子で生まれてきたのです

花束にうさぎ隠して会いに行く

茹でたてのパスタのにおい猫の恋

春雨に濡れて濃くなるアジア象

許される眠りにいつも沈丁花

恋人の腋には腋毛山笑う

けどとても楽しい蚕であるきらら

春うららたまに感電するしくみ

 

*加藤綾那 (かとう・あやな) 1993年生まれ 京都市在住。:船団の会(旧) 同志社女子大学時代、非常勤講師だった塩見恵介に俳句を教わる。

なお、第12回船団賞候補作「し・たたる」20句は、船団誌125号78頁に掲載。

この「し・たたる」20句はより口語俳句を重視か。口語、文語、仮名遣い表記、切れ字の使い方、などについては、あえて自己拘束していないようだ。試行錯誤もいいだろう。