🌸 葉鶏頭 【2019年晩夏俳句自選100選】

 

 

01

遠花火外国船には外国人

海開くいいE爺さんは外国人

外国船ゆるり迂回し遠花火

浜茄子をゆるり迂回し外国船

夏休み飛行場には外の人(エイリアン)

戦後後も見知らぬ家に吊忍  

炎昼を口飲み禁止の外蛇口

外道しかつれなくなって梅雨明ける

外郎の内外食べる土用入り

切り返す外車のハンドル露地なすび

 

02

脳外科と神経外科と青石竜子
外部とは内部のつづき凌霄花
鬼太郎の目玉解剖、解夏の外科
朝蝉の啼いたふりして開けぬ梅雨
外部とは内部のつづき凌霄花
八月も外科医も白衣も濡れたまま

溺れたての河童を悼む餓鬼忌かいな

タピオカを飲んで海月をピスタチオ

アイスタピオカ紺のブルマー履いたとこ

今夜こそ糺そう紺屋の冷奴

 

03

夏空や紺の手ぬぐい宙へふる

水平線完璧紺碧晩夏光

今生の喜雨紺青に濡れ洩れ溢れだす

百日紅さくさく紺屋の白袴

紺碧の海の藻屑となるクラゲ水母

見上げれば紺屋の褌夏木立

紺屋にも越中褌夏木立

ひまわりや上白石萌音と萌歌

夏蜘蛛になってポエムはポエティック

〇太町〇鍋あり〼カネは梨

 

04

八月はエロスのかをりあのかをり

八月や腋臭残り香莨の香

八月の濡れない砂に刺すナイフ

八月の詩集を空に突き刺して

燃え上がる八月の詩の欠片

毛虫焼く自称サーファー兼詩人

八月をしめてニワトリ詩を洩らす

八月のスマホ画面に詩を記帳

八月のスマホ決済タバコに詩

晩夏晩年スマホの画面に詩をしるす

 

05

八月の電子タバコにゃ詩が書けぬ

八月を自称サーファー兼詩人

たしょうですがじしょうサーファーけん詩人
夏蜘蛛になってNIPPON近代詩 

図書室の賢治の詩集星祭り
蔦青しリルケの詩集借りたまま
西語で読むロルカの詩集ダリヤ咲く
違和感のある毎日マリーゴールド

八月に民喜の詩集おいたまま

図書室の賢治の詩集星祭り

 

06

西語で読むロルカの詩集ダリヤ咲く

ジュンサイ入りタピオカ三昧家プール

ホーシツクツク経費で落ちてく領収書

亀岡はむかし亀山おとり鮎

光秀はむかし十兵衛鮎もどき

錆鮎の目を青きまま桔梗紋 

きりさいた傷みは痛み丹波霧

ほおづきと海ほおづきの眼球譚

天高しGPS付き捜索犬

初嵐 はつあらし法より上に不平等

 

07

DDT身に入むころをBCG

キリギリスC(ツェ―)萬G(ゲー)仟ゲルピンだぁ  ※( )内はルビ

赤ノママDon’t shing a song,Stay be red.

コスモスのゆれてわれらや「いきめやも」

採血も輸血も邪の道蛇穴に(入る)
涼新たこの血処女の血処女地の霊 ち
新涼やサラサラサラと血を垂らす
血塗られて番町屋敷に曼珠沙華
蛇穴に入るやピアスに金釦
血の道は命の母よ蛇穴に
 

08

蛇穴に入るや姉妹は穴を出る
血脈は脈脈と折れ彼岸花
蛇穴に入るやデオコ(DEOCO)の香にまみれ塗れ
蛇穴に入りてもぞもぞコミックショー

濃りんどう(竜胆)姉よりうえ(上)の妹よ

祖母トメ逝く令和元年葉鶏頭

チンチロリン驕る兵士に奢られる

生きるとは必要経費きぬかつぎ

彼岸花にぎりつぶせぬまま機密

人一倍奢り溺れてうろこ雲

 

09

土耳古(トルコ)でも波斯(ペルシャ)でもなく割柘榴 

波斯(ペルシャ)でも暹羅(シャム)でもなくて猫じゃらし(猫戯草)

ひとなみに奢れや裏でチョンギース

移り行く世の憂さ吸って雁来紅

頭数そろえそろえて吾亦紅

一頭の牝馬を惜しむ鱗雲

その才を端倪すべく鶏頭花

ひつじ雲いそがなくてもいいんだよ

これっきりこれっきりです鶏頭花

頭上にも天の上にも鰯雲

 

10

銀漢の淵に斉しく静寂しじま降る

鶏頭も頭数に入れフェスティバル

どんぐりも頭を出して蚤の市

狛犬二頭くちを阿吽に七五三

月を逃げろ林鄭月娥(キャリーラム)似の姐師匠

頭割りして五百円なり十三夜

消費税頭割りして吾亦紅 

天高し同窓会でも自虐ネタ

ハレもケもなくしてしまえ丹波栗

その才を端倪すべく鶏頭花

 

※補

 

身にしむや人脈金脈不整脈

誤解です二回だけです鳳仙花

熱き血の通えど脈なし赤まんま