🌸 是非、是是非非ーー俳句100句 2019夏 その1

 

 

01

肩までの距離の苦しき栗の花

AIの夢や夏野の昏きまま

自虐型AI失格サクランボ

六月の海の昏さを確かめる

AIは脳に夏野を夢見てる

六月のパンダぱんぱん干してみる

先生とKとJK緑の夜

東京は特許特権ホトトギス

吾輩はAIである明易し

夏服に着がえてラカンの鏡a

 

02

子宮にも入口出口衣被

取り合わせのもので失礼緑の夜

女子男子着替え別々栗の花 

夏空へ少年少女合唱団

緑夜へとウッドベースの音刻む

六月のボンさんスカしたへをこいた

少年の乳首少女の乳房南ふく

ブルマーに逆ハラされて夏薊

夕暮れへ走って逃げる栗の花

六月のボンさんスカしたへをこいた

 

03

青梅雨や記憶の中に女比(はは)香る 

香水の溢れる個室エレベータ

へへへへっへすかしっぺだった罌粟ケシの花

へのもへじ6月6日の雨上がる

子宮にも入口出口更衣

白南風ya yo  少年年少女の観賞会  

少年の胸にまさおな夏野ゆく

をみなごへながれふりぬる濃あぢさゐ

満足なからだに絡むサクランボ

掛け算は足し算より出で薔薇の闇

 

04

夏あざみ男女いつまで対でいる

2千万足りなくてもゆくカタツムリ

何足になれば満足ナメクジリ

積分法もとは足し算罌粟坊主

ハナミズキ100年つづく皆年金

サルスベリ100年つづく非国民

土用波、大蔵省地下埋蔵紙

紙魚走る帝国銀行兌換券

少女らは青水無月を踏んでゆく
生き死にのことはさておきかき氷

 

05

紙魚走る百年安心大蔵省 

少女らは青水無月を踏みしだく
ここはもう退屈ばかり土用波

御中元是非是是非非の誤忖度

ここもまた弓折れ矢盡く夏野なか

ひょっこりと原弓子似のサクランボ

草原の輝きバズる夏の果て

一心に原状回復心太

青蔦やビオラに弓のカブリオレ

弓強く張りて下弦に夏の月

 

06

発条に声極まれる揚花火

弓なりに虹の舌先ふたりきり

ほんとうは冷たい夜の熱帯魚

メデュ―サの首にサロメの薄暑光

梅雨明けてすでに民族戒年金

土耳古桔梗 六、七月、昏き谷

譲渡担保地上権付百日紅

ひまわりさんみんな駅前留学生

地の塩を舐めるくちづけ半夏生

外ナンバー外してナンパする凌霄花

 

07

夏の夜の浅き夢みしラブドール

いちめんのヒマワリまりやの「駅」を臥す

熱帯魚あれて飼われて夜を研ぐ

はさまれて夢見心地の心太

地下室の階段とられて水中花

アオハルの駅を飛ばして栗の花

浅浅と地下を流れて水芭蕉

夏木立ち駅舎の向こうへ振り返る

肩までの距離の苦しき栗の花

夏暁の浅き眠りに自縛霊

 

08

字面士と地面師交差する夏野

引き潮に弓原夏がいた晩夏

天神通二条駅下ル夏薊  

浅茅生の雨の駅まで地に千の血

山滴る富山立山浅地駅

梅雨明けて上白石には萌音と萌歌

水平線まだらに越えて海開く浅葱斑に

夏の海まだらに越えて浅葱色

たましいの駅まで迎えに夏がゆく

壁紙を抜け出す避暑地のバルトーク

 

09

セイシュンをムダ遣いしてゆけ晩夏

忘れようとしてあの七月を忘られぬ

きみとならふた駅歩く罌粟の花

サルビアの駅まで夢みる濡れること

山桜桃梅なみだこぼせどかえりこぬ

びじんはくめいパンツ白米うなぎニョロ

青春を足し足しひいてカタツムリ

人生の足しにならないナメクジリ
揚げ花火人類みんなエイリアン

2000万足りなくなって額の花

 

10

ゴキブリの翼が欲しい天使かな

こんなにも命をそまつにゾウリムシ

こんなにも粗末ないのち蛍烏賊

ナメクジリ思わず漏らす我慢汁

ナメクジリ漏らしたくないけど漏らす

青春の足しにならないサクランボ

六甲に埋められたいんかサングラス

端居して箱根湯河原那須別荘

草原の輝きいつまでサングラス

土用波、原告AI外二匹。